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「だいこん」 01

〜日本を代表する野菜〜


 日本のだいこん生産量の95%を占めるのは、青首だいこんという品種です。欧米では、単に「radish」という場合は赤くて小さい二十日だいこんを指すため、白くて大きい日本のだいこんは「Daikon」もしくは「Japanese radish」と表記されます。16世紀に日本に来た宣教師が「日本の見るべき野菜は、だいこんのみ」と本国に書き送っていることからも、だいこんが古くから日本の風土に適して改良されていたことがわかります。だいこんは、作付面積4万ha、収穫量162万t(平成16年産)と野菜のなかで全国第一位を誇り、日本を代表する野菜といえます。

 だいこんは、アブラナ科の一年生草木です。原産地は、地中海沿岸という説や、コーカサスからパレスチナ地方にかけてなど諸説あり、はっきりしていません。ただ4000年以上前には古代エジプトですでに栽培されており、ピラミッド建設の人夫たちが労働報酬としてたまねぎやにんにくとともに、だいこんを食していたことが記録に残っています。

 日本へは、インド・中国・朝鮮半島を経て、稲作文化とともに伝わったと考えられています。古くは「オオネ」と呼ばれ、『古事記』や『日本書紀』にも記載があります。「ダイコン」と呼ばれるようになったのは室町時代中期ごろからで、江戸時代前期には保存食としてたくあんなどの漬物や切干だいこんなどの加工も行われ、栽培の容易さから飢饉に対する一策としても広く普及するようになりました。だいこんは、日本の風土や需要に合わせて交配を繰り返していく過程で、世界でも類まれな進化を遂げ、全国各地で太さ・大きさ・長さ・丸さ・色・味・旬の時季など特徴のある地だいこんが生まれました。その結果、現在100種類以上もの品種があるのです。

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