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「初心者向きの小松菜を作りましょう」


 さあ、春です。まちにまったベランダ農業実践編の始まりです。

 連載第2回「事前に用意するもの」でご紹介しました、容器、土、種をひっぱり出して準備にとりかかります。

 容器はプランターと発泡スチロール製のトロ箱を用意しましたが、今回使用するのはトロ箱にしました。魚屋からもらいうけたトロ箱は海水の塩分がしみこんでいる恐れがあるので、事前に水を張ってしばらくつけ置いてから使用します。底に水抜きの穴を数箇所、カッターナイフで開けました。

 土は栄養たっぷりな培養土で、ふかふかしています。まず、トロ箱に水はけを考えて2〜3センチの厚さで「底鉢の土」を敷きます。その上から培養土を1袋と半分入れていきます。

 表面を手で軽く押さえると良質のベットのような感触です。小さな種たちが発芽前のひと時、柔らかな布団にくるまれ、安眠できるようなやさしい環境です。

 肝心の種は「小松菜」を選びました。その理由は簡単。初心者でも育てやすいからです。春まきの「小松菜」は生育期間も30日と早く、追肥の必要もありません。芽も3〜5日ででてきますから、せっかちな人むきの野菜です。箱の中に園芸用の白ラベルに種をまいた日を記入し、刺しておきます。秋から冬にかけて、追肥の必要なときに、このラベルにその予定日を書いておけば、やりわすれを防ぐことができるので便利です。

 種まきの前に、水はけをよくするように、トロ箱の周囲に沿って指で少し土を掘り下げます。土を寄せて畝を立てるイメージです。

 次に土に十分な水分を補給してやります。土の表面が少し乾いてきたら、表面を三等分するように10cm間隔で二本の筋をつけてやります。二条植えです。

 浅い二本の溝に均等に種をまいていきます。多少まく量は多めでかまいません。土を軽くかぶせて終了です。

 今年は異常な暖冬ですが、種をまいた3月8日は寒の戻りのような寒さでした。地温が上がらないと小さな種たちはぬくぬくとした布団から起き上がってきません。

 我が家のベランダはあまり日あたりがよくないこともあって、特に夜間の気温低下が心配です。

 そこで保温用のマルチかけの要領で、トロ箱にスーパーの手提げ袋を切ってすっぽり覆いをかけてしまいました。風で飛ばされないよう、周囲をしっかり紐で縛ってしまいました。

 さあ、小さな種たちよ、元気よく布団のなかから飛びおきておいで。

>> 茂木清一 <<
1948年埼玉県生まれ。埼玉県美里町で農業を営む。元JA技術指導員。
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2〜3センチの厚さで「底鉢の土」を敷く

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