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充実のファーマーズマーケット


 道の駅「川場田園プラザ」がオープンした平成7年から12年を経過して5ヘクタールの敷地には地元野菜を直売する「ファーマーズマーケット」を核に、地ビールとパンの二つの工房を併設したレストラン、手打ちそばが食べられる「虚無蔵」、ミルク工房にミート工房、そしてブルーベリー館&物産館など、7つの施設が中庭広場を取り囲むように建っている。


 7つの建物の概観は和風で統一されて、落ち着いた雰囲気をかもし出している。地方の施設には往々にして周りの風景とマッチしない洋館風の建物をよく見かけるが、「川場田園プラザ」はその愚をおかしていない。設計の構想段階でしっかりしたコンセプトをもっていたのだろう。


 施設の中で最初に建てられた「ファーマーズマーケット」の中に入ってみる。広さはそれほどでもないが、売り場に積まれた、野菜、根菜類の種類の多さに感心した。ジャガイモひとつをとっても男爵、メーンクイン、インカのめざめ、アンデス、キタアカリなど、いろいろな種類のジャガイモが置いてある。

 生産者は毎朝9時にみずから生産物を納入し、売れ行き状況を自分の目で確かめながら在庫を補充している。売れ行きがよければ日に何回も納入のために訪れる生産者もいる。


 現在、登録している生産者は300人あまりで、壁に顔写真が貼ってある。年配の生産者に混じって意外に若いお母さん方が多い。兼業農家のお年寄りと嫁がちょっとした小遣い稼ぎで野菜や根菜を作り、販売している。

 しかし、その姿勢は中途半端なものではなく、売れ筋をしっかり見極め新しい作物、種類作りに意欲満々である。それが野菜、根菜類の種類の豊富さにつながっている。

 生産者と「川場田園プラザ」側の納入野菜・根菜に関する取り決めは緩やかなもので、種類も価格も生産者側に任せている。生産者が「川場田園プラザ」側に支払うマージン率だけを取り決めているだけだ。


 種類の多さもさることながら、感心するのがその価格の低さと量の多さである。買って帰ったインゲンなどはちょうど両手で輪を作るようにしなければ収まらないほどの量があり、これがたったの60円だった。大半の野菜・根菜が100円前後の値段になっている。

 いろいろ買い込んでも千円札1枚で十分である。冬場をのぞくスリーシーズンの土日には1日平均千人の客が訪れる人気の道の駅である。

 「川場田園プラザ」は関越自動車道の沼田インターチェンジを降りて10分とかからない利便性の良さから、東京、埼玉、神奈川、千葉など、関東近県からの客が多い。栃木、茨城ナンバーの車が少なめなのは、おそらく福島県を中心に東北圏へと流れるからであろう。


 人気の「ファーマーズマーケット」は「川場田園プラザ」全体の売り上げに占める割合が最も高い。野菜・根菜類についで人気の高い商品はミルク工房で作られた飲むヨーグルトである。写真のように小ぶりな容器がかわいらしい。ヨーグルトを飲みながら甘いアップルパイを食べみた。酸味と甘味の取り合わせがとてもいい。

 昼食で食べたそばも人気が高い。村内の休耕地を利用して栽培したそば粉を使い、蕎麦うち技術を習得してきた主人は元農家のご主人だ。

 そして車の運転の都合上、飲むことはできなかったが地ビールの生産量は採算ラインの60キロリットルに達して、経営も軌道に乗ってきた。

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ファーマーズマーケットの入っている建物

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野菜・根菜類が所狭しと並んだファーマーズマーケット内部

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ジャガイモの種類も豊富

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地元特産のこんにゃく。ブルーベリーとともに力を入れている。

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大半が100円前後で量も多い。

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ベーナス・ナスともに100円、インゲンはたったの60円。

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加工品などを扱っているブルーベリー館

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ブルーベリージュースなど地元産の素材を使った加工品の種類が豊富だ

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蕎麦どころ「虚無蔵」の外観

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こしの強い蕎麦で、値段も手ごろだ

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レストラン館の中にはビール工房・パン工房も入っている

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手前がレストラン館、隣が蕎麦どころ「虚無蔵」

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中庭を取り囲むように7つの施設がある

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野菜についで人気の高いミルク工房の飲むヨーグルト