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豊富なビタミン類を含む「畑のりんご」


 じゃがいもの主成分はでんぷんですが、その糖質カロリーはお米の半分以下です。これは、じゃがいものでんぷんが消化酵素の働きに左右されないため、体内に吸収されにくくなっているからだといわれています。この豊富なでんぷんを活用したのが片栗粉です。もともとカタクリという植物の根から抽出していましたが、現在ではじゃがいもから片栗粉を精製するのが主流です。さらに、でんぷんは糊料や薬のコーティング剤といった工業用・医療用などの幅広い用途に使われています。ほかには、畑のりんごと呼ばれるほど豊富なビタミン類、B1・B6・Cなどを含んでいます。とくにビタミンC(免疫力増強、抗がん作用)は、ほうれん草やはくさいに含まれるものは加熱によって多くが失われる弱点があるのに対し、じゃがいもではでんぷんに包まれているため加熱してもほとんど失われません。そのため大航海時代では、常備食材としてキャベツの塩漬けとともに船乗りたちの壊血病防止に一役買ったといわれています。またじゃがいもは、いも類のなかでは珍しいアルカリ食品なので、カリウムや鉄分を多く含みます。カリウムは塩分を体外へ排出する作用があり、加えて食物繊維も豊富なので、高血圧や大腸がんなど生活習慣病の予防に効果があります。なお、じゃがいもの芽や皮の緑がかった部分にはソラニンという有毒なアルカロイドの一種を含んでいますので、発芽の際は注意して深く芽をえぐりとる必要があります。この毒が、普及するときに食用として敬遠されていた要因です。もし、芽の部分を多く食べると、吐き気、腹痛、頭痛などの中毒症状を起こすといわれています。

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