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「元気豚」の豚舎を訪れる


 農業県である千葉県は「食育」もまた官民問わず盛んに取り組んでいる。

 「道の駅 多古 あじさい館」に豚肉を納品している(有)ジェリービーンズも独自に「食育」に取り組んでいる。

 今回は「道の駅 多古 あじさい館」の平野店長の紹介で(有)ジェリービーンズ(以下ジェリービーンズと略す。http://www.genkibuta.jp/html/newpage.html?code=1)の内山社長に話をうかがうことができた。


 「道の駅 多古 あじさい館」は地域の活性化を目的に平成12年9月、町役場を核に地域全員参加型の第三セクター方式で作られた。

 もともとこの地域では道の駅ができる以前から、早どり野菜を直売する朝市が盛んだった。

 朝市では農家の年寄りの手による野菜や漬物など、さまざまな加工食品が売られていた。町の主産業である農業の振興と高齢者の生きがいにつながる「道の駅」建設はこの朝市の延長線上にある。「道の駅 多古 あじさい館」建設は地域全体の課題としてとらえられ、内山社長は養豚組合の代表として組合員のまとめ役を積極的にこなした。


 現在、ジェリービーンズの豚肉は「元気豚」の商標でレストランのメニューに加えられ、店内でも精肉が販売されている。しかし、店内のスペースには限りがあり、ジェリービーンズの豚肉を売るスペースも写真のように小さい。

 年間2万4千頭を出荷、販売し、自社でミート加工工場を持つ同社の規模からいえば、「道の駅 多古 あじさい館」で売られる製品はきわめて少量だ。

 しかし地域への貢献と畜産業の広報・宣伝と位置づけて「道の駅 多古 あじさい館」を捉えている。


 内山社長によれば養豚を含む畜産業は農業と同じように難しい立場にあるという。

 国の農業政策は意欲ある担い手に小さな土地を集積して、規模をある一定以上に拡大し、農業の生き残り戦略を目論んでいる。養豚業もジェリービーンズのようにコンピュータを使って豚舎の管理、育成状況のデータ化を進め、飼育・経営管理を徹底して行う、大型コスト追求型と丁寧な飼育で勝負する小規模・家族経営型の二極化が避けられないと予測している。

 しかし経営形態の二極化がすすんでもこれからの養豚業の生き残りには情報発信がキーポイントであることは共通している。

 特に養豚業はにおいや鳴声による騒音、糞尿の処理など地域環境・住民との折り合いが欠かせなくなってきている。同社は若い人むけにはホームページで、パソコンの苦手な人むけには月1回発行のA4大の「元気豚通信」を発行して情報発信に努めている。地域の小学生を飼育場に招待して理解を深めてもらったり、近隣農家に糞尿を液肥として提供し、野菜の収穫量アップに貢献したり、さまざまな取り組みをしている。

 また、養豚業は飼料購入、豚舎の建設、物流、屠場との関係など裾野は広く、経済波及効果が大きいのが特徴だ。ジェリービーンズは現在、パートを含め50〜60名を常時雇用している。「元気豚通信」の編集を担当している人は地元出の若い女性従業員の一人である。養豚業は仕事の少ない農村地域では数少ない雇用機会を作り出し、地域に貢献をしている。

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限られたスペースで少量の「元気豚」が売られていた

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帰りにミート工場で買ったしゃぶしゃぶ用「元気豚」
月1回発行で、20号を数えた「元気豚通信」

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