食の自立を考える時期
「偽装」に明け暮れた2007年。年が改まってまもなく今度は古紙を使った再生紙の「偽装」が明らかになりました。それも製紙業界ぐるみの「偽装」です。
生真面目にごみの分別をしてきた社会をだまし続けてきた製紙業界の行為は許せません。ことここにきわまった感がする一連の「偽装」問題です。
また年明け早々、アメリカのサブプライムローンに端を発して世界の株式市場が揺れ動いています。世界の余剰資金は株から原油、金、レアメタルのような鉱物資源へと投資対象を移しています。そして格好な投資対象として食料資源もターゲットにされています。
異常気象による穀物不足に加え、余剰マネーも絡んで日本の「食」を取り巻く環境はますます厳しさを増してくる1年になりそうです。すでに新聞等マスコミは続々と食品の値上げを報じています。
食品でも特に生鮮食料品は生活防衛のための買いだめはできません。国内産より安い輸入生鮮食品も流通コスト増により、徐々に値上がりしてくることが予想されます。
私たちはこれまでの食の「安全・安心」に加えて、今後は食の「価格」により注意を向けざるを得なくなるでしょう。
海外頼りだったこれまでの日本の食、これからは食の自立を真剣に考える時期にさしかかってきました。災いを転じて福となすの通り、一人一人が食を考えるいい機会ととらえ、当NPOもさまざまな食の情報を発信していきたいと思います。
リレーブログのゲスト募集中!
リレーブログのテーマは「食・農・自然」です。テーマの範囲内であれば自由に書き込みしてください。さりげなく宣伝なさりたいことも書き込みOKです。下記の要領でブログに書き込みしてくださる方を募集いたします。
<応募要綱>
テーマ:「食・農・自然」
文字数:一日一回で200文字と写真2〜3点
期 間:掲載連続7日間
題 材:書き込みしたいテーマと簡単な自己紹介文を添付のこと
(ご自分のホームページ、
ブログがあればそのURL、アドレスを書いてください)
応募方法:下記メールアドレスで随時受け付け
編集後記
先日、食生活ジャーナリストの会主催の「食料自給率39%じゃ、いけないの?」〜消費者・生産者・食品企業、そして食生活ジャーナリストには何ができるのか〜という、やたら長々しいタイトルのシンポジウムに出かけてきました。
パネリストは農林水産省の官僚、東大の教授、専業農家の三代目、司会は食生活ジャーナリストといった構成。以下は、とくに印象に残ったパネリストおよび参加者の言葉です。
自給率の減少は1980年代半ばまでは食生活の変化によるもの、それ以降は農業生産量の減少によるもの。とくに、肉食の増加による年間3000万トン(米の生産量1000万トンの3倍強)を超える飼料穀物の輸入量増大が大きい。そういう観点からも増え続ける休耕地の有効利用として飼料作物の耕作が考えられる。団塊の世代の農業回帰はあくまでも趣味としての農業を志向すべきである。ただ、その趣味としての農業でも、専業農家を無視した値段の野菜直売などで一部、弊害が生じている。若い人たちが就農できる環境が整っていない。現在の状況では農家の人と結婚するか、農家の跡次になるしかない。有機農業も意外に堆肥などを使い、窒素過多による自然破壊につながりかねない。ドイツの就農者は2・1%で日本の3%を下回るが、ヨーロッパ各国からの季節労働者受け入れといった環境がある。
安さが売りのファミレスの食材などは輸入食材に頼らざるを得ないが、病院食もそれ以上の低価格を求められる状況にあり、ファミレス以下とも言える……。
僅か3時間たらずの討論で、そう簡単に結論の出るようなテーマではありませんが、やはり、パネリストの一人である若い農家の方の意見は現場を踏まえての発言だけにリアリティが感じられ、説得力のあるものでした。このシンポジウムは、毎年開催され、どなたでも参加できますので、ご関心のある方にはお勧めです。
【 リンク集 】