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根菜類では大根についで第2位の生産量


 にんじんは20度前後の比較的冷涼な気候を好む野菜で、土壌や空気の多湿を嫌います。そのため、にんじん本来の旬は晩秋から冬にかけてです。にんじんは酸性の土では育ちがよくないので、肥料と一緒に石灰も施すことが大切です。

 日本のにんじんの総生産量は約68万トンで、根菜類ではだいこんに次いで第2位です。この数値は40年前の約2倍と大幅に増えています。都道府県別では北海道が1位で約19万トン、2位は千葉県の約13万トン、3位は徳島県の約5.6万トンです。暑さに弱いことから夏場は北海道・青森県などの冷涼地を中心に生産され、冬場になると千葉県や徳島県などに産地が南下します。

 一方、世界の総生産量は約2,332万トンです。世界で一番生産量が多いのは中国で、全体の約35%を占めます。次いで、アメリカ、ロシアと続き、日本は第6位です。


豊富な栄養素を生かすには油料理が効果的


 にんじんに豊富なカロチンが含まれているのは有名ですが、それはヨーロッパ型にんじんに限ってのことです。ヨーロッパ型にんじんがオレンジ色をしているのは、黄橙色をしているベータカロチンが豊富なためです。ベータカロチンは、抗酸化作用を発揮して活性酸素による害を防ぐだけでなく、体内で必要な量だけビタミンAに変わって、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。ベータカロチンは皮の近くに多く含まれているので、調理をする際は皮を薄めにむくのが上策です。また、カロチンは油に溶ける脂溶性ビタミンで、油と一緒に摂取することでビタミンAとしての吸収率がよくなります。にんじんの栄養を生かすには油料理が効果的なのです。

 一方、金時にんじんなどアジア型にんじんは濃い赤色をしていますが、これはベータカロチンが多いのではなく、同じカロテノイド類でもリコピンと呼ばれる成分のためです。リコピンはトマトに多く含まれている色素で、ベータカロチンと動揺に抗酸化作用があると近年注目を浴びています。

 そのほか、にんじんにはアルファカロチンも多く、がん予防の効果が期待されています。また、食物繊維やビタミンB1・B2・Cのほか、鉄分・カリウム・カルシウムなどさまざまな栄養分を含んでおり、まさに緑黄色野菜の王様にふさわしい野菜です。

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