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増え続ける耕作放棄地のわけ


 過去2回は茨城県の実例をもとに休耕田を利用した牛の飼料稲栽培を取り上げてきました。

 今回も引き続きおなじテーマで話を進めていきますが、その前に休耕田の増加原因と対策について過去の経緯を振り返えってみます。


 2005年現在、休耕田を含む耕作放棄地(遊休農地と同じ意味)は埼玉県一県より大きな面積で、39万haに達し、いまや日本の全耕地面積の8%を占めています。食糧自給率が39%に落ち込んでいる一方で、未利用の農地がこれほどの面積に達しているのです。

 耕作放棄地が増える理由は農業の担い手が高齢化し、かつ後継者が不足しているためです。

 後継者不足の最大要因は農業所得が低く、人材が他産業へ流出したためです。また、耕作放棄地は山間地や中山間地に特に目立ちます。耕作条件の厳しい山や急傾斜の多い地域の農地から先に放棄されていくためです。


 耕作放棄地にかかわる代表的な農業政策に中山間地域を対象にして2000年に作られた「中山間地域等直接支払い制度」があります。一農家または地域農家を対象にいくつかの条件をつけて、直接交付金を支払う画期的な政策が採られました。

 また2005年から農業者個人、NPO法人などにも耕作放棄地を活用して市民農園が開設できるようになりました。さらに農業を生業としない企業が農業に新規参入しやすくしたり、住民、NPO等に呼びかけ耕作放棄地を使った多様な地域活性化事業をバックアップできるようになりました。耕作放棄地を活用して放牧や飼料稲の栽培等、畜産利用に必要な条件整備も含まれています。

 耕作放棄地増加の根本原因である担い手不足に対しては意欲ある農業者に農地を集積させ、規模拡大を図る制度や小規模農家が集まる地域に対しては地域ぐるみで営農に取り組みやすい制度となっています。

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