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知っておきたい中国事情


 日本のみならずいまや世界の消費生活が中国製品によって支えられています。そして中国製品の安さは中国人の安価で豊富な労働力によって支えられてきました。日本がバブル崩壊後もデフレ気味の物価安定という恩恵を受けてきたのは、中国の安い労働力に日本を含む世界中が依存してきたからです。

 中国では今年1月から新労働契約法が施行されました。この法にはこれまでの「労働力安売り戦略」の転換という政策的意図が込められています。

 新労働契約法の詳細は下記URLを照会していただくとして、新法施行前に外資系をはじめとする各企業が、ベテラン社員を中心にあからさまなリストラを断行しました。

 これに反発した従業員が使用者側に抗議して、昨年から各地でさまざまなトラブルが頻発しました。


 先の中国製冷凍餃子問題が発覚した直後、中国警察当局が中国側での「事件性」を視野に入れていることを発表し、私たちは少なからずこれまでと明らかに違った中国政府の対応に違和感をもちました。

 その背景には当該食品会社の従業員が使用者に反発して、農薬を混入したのではないかという、中国社会の情勢を踏まえた警察当局の判断があったと推察されます。

 安全性をないがしろにする中国製品の陰には「労働力安売り戦略」が大きく影を落としてきたことが明らかになりました。やはり常識外の安さにはどこか無理が生じるのでしょう。


 ここ10年余り、ものの安さばかり追い求めてきた結果が皮肉にもまわりまわって中国製冷凍餃子問題として私たちに跳ね返ってきた感がします。


<新労働法を報じるネット情報>

http://www.actiblog.com/tanaka/13979

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/02/01/roukeihou/001.html

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