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日照りが強いほどおいしくなる


 スイカの果肉色には大別すると赤・黄・白系があり、果皮色には縞・黒・黄色系があります。2s前後の小玉スイカも出回っていますが、現在日本では8s前後の赤色大玉の縞皮が主流となっています。そのほか、黒皮で赤い果肉の北海道の「でんすけすいか」や、縞皮の楕円形で20s前後にもなる富山県の「ジャンボすいか」、白くてかたい果肉で奈良漬けに利用される和歌山県の「源五兵衛」など、特色あるスイカが各地で栽培されています。

 また変わったところでは、1948年(昭和23)に京都大学の木原均博士が開発し、1951年(昭和26)に市場に登場した「種なしスイカ」があります。種なしスイカの種子は、コルヒチンという薬剤処理をしたスイカと、普通のスイカを交配することによって得られます。熟期が遅くて味にムラがあるなどの理由で、日本ではあまり普及しませんでしたが、東南アジアでは台湾で改良された品種が広く普及し、主流となっています。さらに、アフリカ諸国や中国では、種の大きな品種をナッツ用につくっています。

 スイカは最も光が必要な作物のひとつといわれ、収穫前には少雨・高温が理想で、日照りが強いほどおいしく実ります。スイカ栽培は、常に根をダメにする「つる割れ病」の問題を抱えていて、多くの苗はこの病気に強いユウガオ(かんぴょう)の台木に接ぎ木をして育てる方法をとっています。冬瓜やかぼちゃの苗を台木にする場合もあるという、このスイカの接ぎ木法は、昭和初期に一軒の農家によって編み出され、野菜のなかでは先駆的にスタートしました。現在では、トマト・きゅうり・メロンなどが接ぎ木で栽培されています。


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