お知らせ

  • 前のページへ
  • 009
  • 次のページへ

田舎暮らしと野菜つくりの共通項は
自然回帰願望?


 今年9月に東京大手町で2日間にわたって恒例の「ふるさと回帰フェア」が開かれ、団塊世代を中心に田舎暮らしを希望する人たちがイベント会場にあふれていました。

 その様子がNHKの番組、11月7日(金)夜8時「新トーキョー人の選択」で紹介されていました。

 この番組では田舎暮らしを実践しているご夫婦が何組か出演していましたが、そのなかの一組が7年前45歳で出版社をやめて、栃木県の馬頭町(現、那珂川町)に家族3人で移り住んだ樺島夫妻がでていました。樺島弘文氏は雑誌「プレジデント」の編集長を務めたキャリアの持ち主ですが、放送日の数日前に私宛にメールでお知らせいただきました。

 樺島氏の田舎暮らしぶりは「会社を辞めて田舎へGO!」と「馬頭のカバちゃん田舎暮らし奮闘記」の2冊の著作でその生活ぶりは知っていましたが、映像で見るとさらにその元気さがよく伝わりました。当初はいやいやながらついてこられた奥さんが、樺島氏本人以上に元気そのもの、はつらつとした様子でした。「夢を追いかける男、現実を見据える女」のセオリーがここでもしっかり生きていました。


 田舎暮らしとともに、食の安全の問題も絡んで、自ら野菜つくりをしようとする人たちも増えています。市民農園も大人気ですが、本格的な農業を学びたいという人もまた増えています。そこで農家にボランティアで農作業を手伝い、その見返りとして野菜の現物を農家からいただき、同時に野菜つくりの技術も習得できる「援農制度」が注目されてきました。次号は「援農」をテーマに特集を組む予定です。


編集後記

 先日、獣害に苦しみながら不耕起・自然農業に勤しむ友人に勧められて「オオカミの護符」という映画を観てきました。内容は関東平野を取り囲む山々の神社に綿々と受け継がれている、お山のお守り“オオカミの護符”の謎に迫るドキュメンタリーです。

 関東平野の農家や都会に残る数少ない農家などの暮らしには、今なお「お犬さま」と呼ばれるオオカミの護符を土蔵や家の戸口や畑に貼る風習が残っています。関東平野をぐるりと囲む山々には、かつてニホンオオカミが棲んでいました。オオカミは人々の畏怖の対象であり、害獣から作物守ってくれる尊い生き物でもあったのです。

 オオカミが護り札となる背景には、人がオオカミをありがたい存在と考えてきた“縁(えにし)”があるのでしょう。自然との共生が声高に叫ばれる現在、先人が守り伝えてきた“足元にある暮らし”を深く捉え直すことはまた、私たちの行く手を照らし出すことでもあります。日本オオカミは絶滅したといわれます。それでもなお、オオカミの護符は今も私たちの暮らしを見守り続けているともいえるのでしょう。

 日本から姿を消して1世紀以上経ったといわれるニホンオオカミ。しかし、今も「護符」という信仰を通じて山と人をつなぐ偉大な存在であり続けていると映画は訴えったかったのでしょう。確かに、われわれが失ったものの大きさについて深く考えさせてくれる映画でした。上映終了時には期せずして、館内に拍手が巻き起こりました。自主上演映画ですので、どこでも観れるわけではないようですが、機会があれば是非。お勧めです。


記事関連の写真
記事関連の写真
記事関連の写真