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冬至のころが食べごろ


 昔から、冬至の日に食べると風邪や中風にかからない、または福が来るなどといわれてきたカボチャの旬は、6〜9月です。しかし、収穫されたばかりのカボチャはデンプンが多く、もさもさしていて甘みもありません。そこで、デンプンを糖分に分解させておいしくさせるキュアリング(熟成)処理が3〜4か月間必要となり、ちょうど冬至のころが食べごろになるわけです。栄養補給に苦労した昔の人にとって、緑黄色野菜の少ない冬場まで保存できるカボチャは、まさに天の恵みだったことでしょう。

 実際、カボチャには、豊富なカロチンやビタミン類に加え、タンパク質やミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養素がバランスよく含まれています。たとえば、カボチャの果肉のオレンジ色はカロチンの色素の色です。カロチンは体内に入るとビタミンAになり、粘質や皮膚の抵抗力を高めて風邪を予防するので、冬場にカボチャを食べるのは理にかなっているといえます。また、ビタミンCは、紫外線によるメラニン反応を防ぎ、シミ・そばかすをつくらせない働きがあるほか、発がん物質の発生を予防する効果もあります。また、カボチャに含まれるカリウムや食物繊維は、血糖を下げるために膵臓からのインシュリンの分泌を高め、糖尿病の食事にも有効だといわれています。

 カボチャは古来、果肉部分だけではなく、種・花・ワタ・皮・葉・ツル・根など、すべての部分が薬用植物として利用されてきました。タンパク質や脂肪にも富み、カロリーの高いカボチャは、種にも良質の脂肪や亜鉛が含まれています。実際、古代メキシコ人は、薄くて繊維質だった当事の果肉は洗浄用に回し、おもに種を食べていたようです。


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