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田舎暮らしのポイント

第8回 方言の見直し


 さだまさしの「がんばらんば」という歌をご存知ですか。

 「がんばらんば」は「がんばらななくっちゃ」という意味だ。

 歌詞が長崎方言でつづられ、ラップのメロディーにフィットして、外国語を聞いているようだ。

 ひところ渋谷の若者のあいだで「〜だべ」がはやったことがある。(今でも流行ってるのか定かでない)近頃の若者は「ださい」ことに嫌悪感をすぐ覚えるくせに、「〜だべ」は彼らにとって新鮮に感じるのだろうか。

 東北弁は「ズーズー弁」とも言われ、音感がユーモラスなぶん、その裏返しで小馬鹿にされやすい。そんな背景が影響しているのか、お笑いの世界で東北出身者は成功できないというジンクスめいたものがあるそうだ。確かにタレントの顔ぶれを見ても東北出身者は少ない。しかし「ズーズー弁」のユーモラス性はもっと前向きに活用したら「よかんべ」と思う。

 私自身が実際に体験した山形弁の聞き違いユーモラス事件(?)とはこうだ。

 山形出身の社員が社内電話で出張精算の問い合わせをしてきたときの話。航空運賃にからむ話を聞いてきたが、そのなかで頻繁に「ジェンニク」という単語が彼の口から出てくる。

 「ジェンニク」だといくらいくらで、JALだとどうだらこうだら、といった話である。いいたいことはなんとなく解ったが、「ところで、その「ジェンニク」ってなんなの?」と聞くと、つかの間の沈黙から、彼が電話口の向こうで絶句している様子がうかがえた

 「ゼ・ン・ニ・ッ・ク・ウ」

 プツン、プツンと一語づつ発音して、やっと謎は氷解した。そう「全日空」といっていたのでした。

 東北の人たちと話をしていると、彼らがけしてユーモアセンスに欠けているとは言いがたい。むしろ、その反対で相当な話し好き、かつおどけ話が得意な人が多い。御神酒が入ればもっと面白い話を聞けること請け合いです。

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