お知らせ

  • 前のページへ
  • 次のページへ

田舎暮らしのポイント

第11回 田舎でビジネスを起業する


 趣味の延長で田舎暮らしをしたけれど、失敗したという話を聞きます。

 定年後にゴルフを楽しみにしていた人が、かえって時間を持て余して、ゴルフ熱が冷めたという話もよく耳にします。

 田舎でビジネスを立ち上げるという視点で田舎暮らしを考えてみてはどうでしょう。

 ただし田舎でビジネスをたちあげる目的は自分自身の生活資金を捻出するためではありません。ある程度、生活に余裕のある人が、これまでのキャリア、人脈を使ってビジネスをたちあげ、移住先である地域社会の活性化に寄与し、その利益を地元に還元することを目指します。都会でできる仕事の拠点をたんに田舎に移すだけでは意味がありません。したがって起すべきビジネスはその地域の資源活用にかかわる分野に限定されます。

 例えばいま流行の産直は、パソコンを使った顧客の獲得、収穫、流通、代金回収業務が生産者にはネックになっています。生産者はいいものを作る知恵はあっても、誰にどうのように売ればよいか、実はあまりよく解っていません。パソコンを自在に使いこなす人は少数派に属します。

 あるいは地元産品を使った加工品開発はどの地域でも取り組んでいますが、パッケージ、ネーミング、広告宣伝、販売ルートの開発といったトータルなマーケティング戦略を経験した人が不足しています。

 田舎の資源といえば農業のほかに山林があげられます。山の化学といわれる炭焼きは石油燃料の高騰や地球環境への配慮から再認識されてきました。

 炭は燃料以外に土壌改良材、防湿材などさまざまな用途があります。また、炭焼きは材料となる木を適度に伐採することで、荒れ放題の山の手入れに一役買うなど環境整備の側面からも再評価されています。

 また森林材ではありませんが、農家にとって大量の籾殻の処分に苦慮していますが、この籾殻を炭にして利用することが考えられます。

 炭焼きだけでなく、山林そのものもビジネスの対象になります。杉の木を伐採した跡地有効活用は早急にアイデアを求められています。たとえば、間伐した山にヤギや牛を放ち、下草を食べさせると、山林整備の労力が大幅に軽減できます。しかもその糞により土壌が肥沃になり草木の育ちに良い影響を与えることがわかってきました。自然と共生した飼育法がより経済的で理にかなっていると、実践する人が出てきました。

 田舎での起業は一見すると難しいと思われがちですが、同業ライバルが少なく、地元の行政や経済、商工団体などの協力も得やすいこと、それに地域貢献を視野に入れた事業をたちあげれば地元から好意的に受け入れられて、事業成功の確率も高まるはずです。

記事関連の写真

炭焼きもビジネスにできる?

記事関連の写真

先細りながらまだまだ炭焼きは続いている