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田舎暮らしセミナー

- 山本一典氏 講演内容<5> -


【 豊かな老後生活のキーワードは「人の役に立つ」 】

 さて、後編は実践的な知識も交えながら話を進めたいと思います。

 旧総務庁の調査によると、高齢者が関心を持っている生涯学習は@趣味的なもの35.5%、A健康・スポーツ25.1%、Bボランティア活動14.2%、の順になっています。普通の趣味やスポーツなら、お金があれば都会でもできるでしょう。しかし、元気な60代は畑を何百坪もやりたい、3日に2日は釣りをやりたい、日本百名山を制覇したい、なんていう人もいる。そうなるとやっぱり都会を抜け出した方がいいかな、という選択肢が出てくるわけです。それ以上に、先ほどの3番目にあげたボランティア活動、これが重要なテーマになります。都会人は地域との係わりがきわめて希薄なので、やっている人とやってもらっている人の関係が全然見えないんですね。ゆえに、人の役に立っている、という実感がない。実は、この「人の役に立つ」、というのが豊かな老後生活を送る最大のキーワードなんです。それが次のお話しする、農山村に住むこと、と関わってきます。

 農山村に住むと、地域住民ならやらなければならない役割がたくさんあります。そのうえ移住者は頼まれることがたくさんある。例えば、私の知り合いの移住者で過去に大企業の経理課長だった人はいま、村の直売所で店番をしています。もちろん、無報酬です。さらに、将棋4段という経歴を生かして、地元の子どもたちに将棋を教えたり、習字の巧さを買われて葬式のときに帳場という仕事も任される。田舎ではそういう役割が一杯あるんです。

 田舎暮らしは都会人が別荘地ではなく、農村に移り住んで地元の人たちと一緒に地域を守り育てていく生き方だと申し上げているわけですが、その根幹にあるのが農村の結という考え方です。これは自分の地域は自分たちの力で守っていくんだ、という相互扶助の精神を指します。集落は通常、いろんな共同作業がある。

 葬式、結婚式、春先には道普請といって、朝早くから道路の草刈りしたり、堰普請といって用水路の掃除をしたり、とにかくいろんな役があります。

 けども、それが地域にとって必要なものであれば、やはり「わかりました」と前向きにやることも必要なんです。

 でも、私はそういう人づきあいは苦手なんだ、という人もいるでしょう。そういう人は迷わず別荘地を選ぶべきなんです。基本的には誰も干渉しないし、都会と同じように自分の世界を作れる。でも、私はそれを田舎暮らしとは思っていないし、別荘地でも都会人同士のトラブルは起きやすい、と言えます。


※上記は本人の承諾を得て講演の内容を一部抜粋したものです。