4月某日、埼玉県三芳町の伊東農園で「新緑を愛でる会」が開催されました。7団体39名が参加し、トコトコ農園からも4名の会員が参加しました。心配されたお天気でしたが、幸い11時ごろからはお日様も顔を出し、寒くもなく暑くもなく快適な一日となりました。
平地林(雑木林のこと)の中に咲く「キンラン」や、寅の狛犬で有名な多聞院の「牡丹」を堪能し、気持ちの良い新緑の平地林での昼食や交流、そして伊東農園のサツマイモやお茶を使った美味しいデザートをいただく等、皆さんと一緒に楽しい一日を過ごすことができました。
折りしも、このたび、嬉しいニュースがありました。それは、3月14日、この地域「埼玉県武蔵野地域(川越市・所沢市・ふじみ野市・三芳町)」で江戸時代から継承されてきた「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が日本農業遺産に認定されたことです。平地林から生じる落ち葉堆肥を活用したこの農法は、まさに武蔵野ならではの貴重な農法といえます。
伊東農園は、そんな昔ながらの「落ち葉堆肥農法」を現在まで継承してきた農家の1つで、参加諸団体はそのような農家や農法を支援し、「落ち葉掃きイベント」等に参加・協力しています。
<<さつま芋の苗床・さつま芋畑の見学>>
苗床は、掃きたての落ち葉を積み込んでから、米ぬか等を適度に加え約3か月で、何と8種類、4万本からの苗を育ているとのことでした。畑では、植え付け準備として6畝分のマルチが貼られていましたが、奥行きが600m近くあり壮観でした。(30cm間隔で植え付けると、1畝で2000株となります!)
<<茶畑の見学>>
鮮やかな新緑が一面に広がります。今年は天候により育成が遅れており、一番茶の摘み取りは連休明けになりそうとのことですが、摘み取り、製茶行程を経て、地元の自慢「狭山茶」として出荷されます。
<<平地林の保全・再生活動>>
平地林は数十年のサイクルで老木の伐採、萌芽再生を繰り返していきます。おいしい「川越いも」や「狭山茶」の秘密は、平地林で集めた落ち葉堆肥にあります。近年、伊東農園の平地林も手入れが進んでおり、老木の伐採と約250本の苗の植樹がなされたとのことです。ますます素晴らしい平地林になりますが、そこには大変なご苦労が伺えます。
<<平地林の散策>>
キンランが見頃寸前でしたが、昨年盗掘に遭い、本数は10本足らずでした。また、ギンランは、開花直前のものが数本確認できる程度で、開花が遅れていました。ヤマユリ、リンドウ、ギボウシ等、色々な草花も見受けられ、この時期は楽しく散策することができます。
<<多聞院の牡丹・草花の見学>>
5月1日の「寅まつり」を控えて、牡丹やクマガイソウなどの草花が見頃を迎えていました。
<<昼食&交流>>
昼食は、気持ちの良い新緑の平地林で、多少アルコールも飲みながらいただきました。落ち葉掃きでの顔合わせもあったので、各団体の活動紹介をしながらの交流も深まりました。約2時間、歩いた後なのでお腹が空きました!
<<伊東農園のデザート>>
さつま芋とお茶のアイスクリームとロールケーキにお茶のセットをいただきました。
大量のデザートを家族総出で大忙しで準備して頂いた伊東家のみなさん、ありがとうございました。美味しかったです!
さて、毎年1月には平地林の「落ち葉掃き」が行われます。総勢100名近くが1日がかりで落ち葉堆肥用の落ち葉を掃き集めます。トコトコ農園からは今年6名が参加しました。来年も、今日集まった諸団体を中心に実施することになるはずです。ご興味がありましたら、トコトコ農園にお問合せください。
注) 日本農業遺産は、世界農業遺産の国内版として農林水産省が本年度に制定した制度で、このたびが初めての認定(国内8地域)となります。残念ながら世界農業遺産への推薦候補としては漏れましたが、改めてこの日本農業遺産に認定された重みを噛みしめ、継承されてきたこのユニークな農法とその精神を受け継ぎ、農作業で実践していきたいものと思います。武蔵野の自然に乾杯!