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農のある暮らし

2011年5月5日 更新

はじめに


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社会人になって40年前後働き続けた団塊世代が雇用延長期間を終えて2009年ごろから続々と退職し始めました。堺屋太一氏による造語、「団塊世代」は狭義の範囲で昭和22年(1947年)〜昭和24年(1949年)の3年間に生まれた人たちをさしますが、平成22年の国勢調査でその数は664万人となっています。

2007年問題は団塊世代の一斉退職が始まる年として、それ以前から大きな社会問題として大きくマスコミにとりあげられたことは記憶に新しいところです。

しかし蓋を開けてみると大山鳴動ネズミ一匹のように2007年問題はそれほど大きな社会問題にはなりませんでした。これは年金支給の遅れに応じて雇用延長制度が採られた結果、退職時期がずれたのが大きな要因です。

団塊世代はその世代人口の多さゆえに時代の節目節目に社会におおきな影響を与え続けてきました。

全共闘世代として大学教育のあり方に疑義を唱え、東京大学の入学試験を阻止し、社会に出るとモーレツサラリーマンへと変身して、日本の高度経済成長を支えた実働部隊として働いてきました。その結果、団塊世代は高度経済成長の恩恵を受けた最後の世代といわれています。

そして人生の第二ステージを迎えつつある今日、団塊世代の退職金総額は平成19年から平成21年の3年間で50兆円という試算もあり、彼らの退職後の消費行動が社会に大きな影響を及ぼすと考えられてきました。

私自身が昭和23年生まれで、いわば2007年問題の当事者でもあります。ただ私は2004年にすでに早期退職をしてしまったので、2007年問題の先取り組に属しています。えらそうなことをいえばここ1〜2年に退職した団塊世代の方にとっては先輩にあたるわけです。

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退職をしてまず多くの人が戸惑うのは、これまでの生活のリズムが突然狂うことではないでしょうか。サラリーマンである限り、入社の時点で退職日がわかっているはずなのに心情的にはやはり突然と感じるのでしょう。そして体に刻まれた長年の生活リズムは簡単に拭い去ることはできません。

退職後の生活リズムの狂いから体の変調をきたすケースはよく見受けられます。

実は私も胆石のため2年間で延べ1ヵ月半を検査、治療、手術による入退院生活を強いられました。

しかし、入院中はなにかと不便はあったものの、ゆっくりしかも集中的に読書をする時間がとれたことはプラスでした。胆のうは内視鏡手術で簡単に摘出され、以後胆石のあの苦しみと痛みとは全く縁が切れて、こんな簡単な手術ならはじめから勧めてくれればよかったのにと、医者を恨んだほどでした。

体の変調より厄介なのが心の変調です。

私の知っているある石油元売メーカーの元研修部長は在職中から自宅のある地元のアマチア混声合唱団を組織して、何年かおきには団員を率いてウィーン旅行に出かけるほど地元密着型の理想的な生活をエンジョイしていました。定年退職と同時にライフワークの合唱団活動に打ち込めて、うらやましい限りと周囲の誰もが思っていました。

しかし程なく、退職後1年たった頃でしょうか、ご本人が軽い欝の症状で人に会うことすら出来ず、合唱団活動も休止しているという知らせが奥さんを通して伝えられました。

ご自分の退職だけが病の原因ではなかったようですが、それにしてもまさか会社人間とはまったく無縁のあの方がと、驚いたことを思い出します。

定年退職にせよ自己都合退職にせよ退職による生活リズムの一変と有り余る時間をどう使うのか、大なり小なり総ての退職者は漠然とした不安を抱えているのではないでしょうか。

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私の場合できるだけ退職をポジティブに考えようと努めました。たとえば、都内に用事があって出かけるときは満員の通勤電車を避けて出かけるようにして、ゆったり座って開放感を楽しんでいました。また、明らかに私と同年代、あるいはとうに60歳を超えたスーツ姿の男性の少々くたびれた様子を街で見かけると「お気の毒にまだまだがんばっているんだ、自分はゆったり自由時間がもてて幸せだ」とちょっぴり優越感を感じていました。

随分みみっちい話と思われるかもしれませんが、常に良いほうへと前向きに気持ちをもっていくことは案外重要なことです。

また章を改め詳しくお話しますが「漠然とした不安」は漠然としたまま放置しないことです。

不安と思われる事柄を残らず書き出し、不安は不安としてしっかり認識することです。

そうすることによって不安を取り除くための方策や知恵がわいてくるでしょう。自分ひとりで不安を解消できそうもなければ家族・親戚や信頼できる友人・知人に相談するのもいいでしょう。いずれにしても不安をそのままにしておくのは最悪です。

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例えば退職後の経済的不安は最も切実なことですが、自分の家の資産と負債管理をすべて奥さん任せにしていませんか。必要最低限の生活資金がいくらで何歳まで確保できているのかいないのか、それがはっきりするだけでも漠然とした不安から開放されます。

お金はあればあるにこしたことはありませんが、欲を言ってはきりがありません。生活を維持するだけの最低額が確保できればよしと割り切ることが大切です。長生きすると見込んで退職後の必要金額を計算しても、予定外に早くに自分自身が亡くなってしまえば資産はたっぷり残ってしまうのですから。この世はなるようにしかならないだけの話です。

退職後の不安を取り除くためのヒント探しに私の経験がいくばくかの参考になればと思い、これからしばらく退職後のライフスタイルをテーマに書き連ねて行く予定です。



※本レポート中の写真と本文の内容は直接関係はございません。