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農のある暮らし

2011年11月20日 更新

第3章 新たな出会いについて

現在・過去・未来


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歌手、渡辺真知子の「迷い道」という歌を覚えてますでしょうか、1番の歌詞が「現在、過去、未来〜」から始まる、あの歌です。

時間の流れからすれば「過去、現在、未来」ですが、この歌詩は「現在」が先にきています。

一般的にはもっとも重要なことが先頭にくるので「迷い道」の彼女は「現在」を重視していると考えられます。「迷い道」の3番の歌詞は


捨ててしまったわ 昔のプライドなんて

もしも許されるならきっと生まれ変わる

〜中略〜

ひとつ曲がり角 ひとつ間違えて

迷い道 くねくね


歌詞の中の彼女は過去に拘泥することをきっぱりとやめて、新しい自分探しの道をすすむことを決意したようです。

しかし、現実は思い通りには事が運べず曲がるべき所を間違えて、目的地にはなかなか到達できずくねくねと道を迷っている。

私はこの歌詩のように現在をまっ先に考えることに共感します。

かつての会社関係の集まりで昔を懐かしんで会社の話に花を咲かせるのは結構ですが、全く仕事とは無関係な人たちの集まりの中で、過去の会社や仕事の話を延々と聞かされるのは勘弁してほしいからです。

それよりもいま何をしているか、どのような生活を送っているのかに興味をひかれます。

もしそれが自分の関心と重なり合うものであれば、ぜひお仲間に加えていただき、一緒に楽しみたいと思うからです。


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私の周りの退職された方を見ているといろいろ考えさせることが多々あります。

学生時代に男性コーラス部に籍をおき、社会人になってもクラッシック専門のライブホールに通いながら幅広い人脈を築いてきた人がいます。退職後はプロの声楽家のもとでレッスンにはげみ、プロ顔負けの歌声でいくつかのコンクールに入賞し、近隣各地でミニリサイタルを開いています。今では熱心な追っかけファンも現れるほどの人気です。人前で好きな歌を歌い、観客からは賞賛の拍手をいただき実に気持ちがいいとは本人の弁です。


また本好きのある人は文化活動に熱心で、地域の読書サークルに所属し同じテーマや本を読み込み、その成果を公開講座の場で講師として発表しています。この方は過去に歴史に関する書籍を2冊自費出版し、もともと文筆の素養があったのでしょう。充実した日々を送っているように見受けます。


また直接お目にかかってはいませんが、所沢在住で大学の大先輩が今年80歳で世界マスターズ陸上選手権大会(アメリカ・サクラメントで開催)のフルマラソン(80歳から84歳までの部)に出場して3時間54分という驚異的なタイムで優勝した人がいます。この方はテニス、野球、ボクシングを学生時代に経験し、社会人になって登山を始めたそうです。登山のトレーニングとしてのジョギングの延長でマラソンに挑戦したそうです。65歳のときいきなりボストンマラソンに出場して3時間52分で完走したというからたいしたものです。それから15年後の今年、変わらずに3時間50分台で優勝したことも更に驚きです。


このように自分の好きなこと、得意なことを退職後の楽しみとしてまい進されている方は過去を振り返る暇も無いくらい充実した日々を送られています。例に挙げた3人は突出した存在ですが「現在」をいきいきと、そして楽しく過ごしている方は私の周りでも数多くいらっしゃいます。

この人たちの共通したところは話の内容が前向きで面白いという点です。

私自身は長距離走が大の苦手で、特にマラソンなどは想像しただけで心臓がばくばくしてしまうほうですが、マラソンの知られざる醍醐味をきかされると、俄然興味をそそられます。私の身近にも各地で行われている市民マラソンの出場経験者がいますが、彼の話はTV画面からは伝わらない逸話を聞かせてくれます。逸話を聞くほうも楽しくなりますが、話すほうはそれ以上に目を輝かせ、その姿ははつらつとして印象的です。


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前向きな「現在」を楽しんでいる人の周りにはおのずと人が集まってきます。

そして多くの人が集まれば人それぞれの経験や知識、情報が集まってきます。今まで知らなかったこと、漠然と知っていたつもりでも実は全く思い違いをしていたことなど、ものの見方や捉え方に新たな視点と刺激をもらうことができます。


前向きな「現在」を楽しんでいる人がいる一方、後ろ向きな「過去」にがんじがらめになっている不幸な人もいます。

「温故知新」とは昔のことを良く知り、そこから新しい知識や道理を探ることですが「過去」にがんじがらめになっている人は往々にして「過去」にとどまるだけで、「現在」につなげる作業を怠りがちです。「過去」に失敗した経験則を「現在」に生かせないない人は常に消極的、否定的、後ろ向きな発言が目立ちます。おそらく彼らは主体的に物事にかかわることなく、いわばお神輿を担ぐふりをして、その実お神輿にぶらさがる人なのでしょう。常に傍観者的立場で自らすすんで泥を被ることが嫌いな人です。

某生命保険会社が行っている「サラリーマン川柳」で腹を抱えて笑ってしまった秀作がありました。

「石橋をたたいて壊す経営者」という句でしたが、「過去」の失敗を教訓として「現在」にいかすことが出来ず、必要以上に慎重で消極的すぎるあまり「現在」までも壊してしまうはた迷惑な人です。


「現在」を楽しんでいる人と「過去」にこだわり続ける人、人間としてどちらが魅力的か、幸せか、一目瞭然です。



※本レポート中の写真と本文の内容は一部直接関係はございません。