<<はじめに>>
所沢の農業のことを、皆さまどのくらいご存知ですか。
昼間東京に通勤している“所沢都民”と、その定年退職者および家族が、所沢市人口34万人の約7割を占めていると思われます。住んでいる所沢市には広い畑が一杯ありますね。きっとたくさんの農家さんがあって、たくさん農業に従事されていると想像されていることでしょう。
私は、11年前に国分寺から所沢市にきました。引越してきた自宅のマンションの裏には広ーい畑があって、電柱・電線が見えないことに感激したものです。
現在所沢市では農家さんは約1,000軒、農業就業者は約2,100人です。所沢市の農業のことを最近学んで、こんなに少ないのかと驚きました。
これから、農業に関心をお持ちの皆さまにシリーズで所沢の“農”事情をお届けしていきたいと思います。
*源資料:所沢市農業振興課 出前講座平成25年「所沢市の農業について」 小冊子平成23年版「所沢市の農業」 埼玉県農林部小冊子2013年「埼玉の食料・農林業・農山村」
<<所沢の作物について>>
まず初めに“所沢の代表的な作物”を紹介します。
里芋 地元野菜の売り場でかわいいシールを貼った野菜をみたことがありますか? このシールは日大芸術学部デザイン学科の学生が里芋をデザインしたものです。
所沢市は里芋の収穫量が県内1位です。最近でこそスーパーの地元野菜コーナーに置かれるようになりましたが、所沢で収穫された里芋は主にJAいるま野経由で都内大田市場に送られ、老舗の料亭等に高級品として消費されています。
夏の畑では里芋の葉が大きく人の身長ほど高くなりますね。あれだけ大きくなるためには水まきが欠かせません。昨年は春から夏にかけ雨が少なく、トコトコ農園も水不足に悩みました。農家では井戸からくみ上げた水をホースで大がかりにまいていました。
所沢市の農業は野菜生産が主力です。畑の作付け面積が一番多いのは、ほうれん草(約203ha)。次に里芋(約116ha)。人参(約75ha)が続きます。
昭和60年ころまでは、作付け面積では大根や人参がほうれん草を上回っていましたが、これら根菜の方が干ばつに強く、昔から水不足に悩まされていた所沢の土地柄に適応していたからです。「所沢の農家には嫁に出すな」という言い伝えがあったくらい、水汲みに苦労させられたのでしょう。それほど水利が悪かったのです。
近年は、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜の作付けが増加してきました。これはトンネル栽培など生産技術の向上と、50〜60mの深井戸を掘って水利を改善する農家が増えたためです。
また、鮮度が求められる野菜なので、大消費地の東京近郊という利点を生かすことができるなど、時流に乗って変化してきました。
根菜類から葉物類に移ってきた理由をまとめると以下のようになります。
・重い → 軽い(就農者の高齢化に沿った作業負担の軽減効果) |
・収穫 1回/年 → 3回/年くらいの複数回 |
*最近では品種改良や栽培技術の進歩で根菜類も年複数回収穫できるようになっている。 |
・近郊栽培で新鮮なものが提供できる |
・小規模な面積でも栽培が可能 |
所沢市を代表する農産物の一つである「狭山茶」については後述します。
次回は所沢市の農業の概要を紹介します。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:support@ganbare-nougyoujin.org