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所沢の"農"情報

2014年10月20日 更新

所沢の“農”事情 第四回

理事 中原幹男

<<<所沢市の農業施策>>


<農業振興課の事業> これまでみてきたように、所沢市の農業は経営の面でも環境維持の面でも大変厳しい状況にさらされています。


それでは行政はどのような対策を打っているのでしょうか。


所沢市の農業振興課の事業(資料1)を、平成25年度予算の大きい順に見てみましょう。


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(資料1) 農業振興課の事業














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(資料2) 直売所ガイドマップ

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(資料3) とことこだより

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(資料4) 地産地消レシピ















 1位 予算1,440万円。 農業機械や施設の整備に補助金(2分の1以内、最大135万円、施設は180万円)を交付して農業経営の改善を促す、というものです。予算1,440万円を施設の180万円で割ると8口になります。
 2位 予算836万円。 中富地区に農道を整備し、大型機械などの導入による農作業の効率化や、遊休農地・不耕作農地の解消につなげ農業振興を図る。
 3位 予算675万円。 18才から39才までの農家団体を対象に、農業機械や施設の整備を補助(2分の1以内、最大135万円)し農業経営の改善を促す、というものですが、135万円が5口分しかありません。
 4位 予算548万円。 「所沢農産物応援隊」や農産物直売所「とことこ市」の運営などにより所沢野菜のブランド化や消費拡大を推進するということで、「新茶まつり」「植木まつり」「農産物発表会、頒布会」市民フェスティバル会場での「農業祭」などの開催に協力しています。また、「所沢市農産物直売所ガイドマップ」や所沢市農業情報紙「とことこだより」とか「地産地消レシピ」などを発行して、市民に対して地元の身近な農業をPRしています。皆さまそれらをご存知でしょうか。(資料2、3、4)
 5位 予算450万円。 経営の不安定な就農初期段階の青年農業者に対し、1人当たり年間150万円を経営開始後5年間給付し安定的な就農を支援する、ということですがわずか3口です。

いずれも額の多い少ないは農業者側になってみないとわかりません。これらの予算が昨年度ちゃんと執行されたかどうか不明ですが、効果の確認をするのが大事だと思いますのでフォローしていきます。


前回第三回レポートの「農家意向アンケート」で、「拡大したい63件」と「現状維持1,373件」を足した「1,433件」に対し、1位の「機械・施設整備補助金8口」では少なすぎるのではないでしょうか。


また3位の「若手農家・団体支援が5口」、5位の「就農初期支援が3口」でしかありません。


新規や若手に対する支援の裏付けがあまりにも貧弱です。


以降、わずかずつながら予算がついているものを9位まで並べます。


 6位 予算150万円。 農薬散布の回数削減を目的とした「性ホルモン剤」「生分解性マルチフィルム」等の導入促進により、環境にやさしい農業を支援する。
 7位 予算68万円。 市内外の多種物産、観光フェアの参加などを通して安全で安心な「狭山茶」のPR活動を実施する。
 8位 20万円。 有機農業などの環境にやさしい農業を実践している農家に対し、国・県・市が一体となり支援(8,000円/10a:国費含む)する。
 9位 15万円。 大学の持つ知的資源などを本市の農業振興に生かすため、東京農工大学との官学連携協定締結を目指す。

やっと9位に東京農工大学との協定事業が出てきました。15万円で何ができるのか疑問でしたが、連携協定プロジェクトが具体的に動き出しましたので別の機会に進行状況をお知らせしたいと思います。


<<課題解決のために>>


さて、これまでの流れでみなさん、所沢の農業が抱える問題・課題を認識されたと思います。それではどうしたらそれらが解決できるのか、日本農業全体にわたる大問題でもあります。戦後社会の構造変化がもたらしてきた危機です。ごくシンプルに考えるならば一番の解決策は、「農業の担い手を増やすこと」です。「あとつぎ養成」「新規就農」「農業者の組織化・会社化」等がその有効な手立てですが、これまでそれらの対策が効果を発揮してこなかったのが実態ではないでしょうか。


いやいやそんな簡単なことではないよ、という声が聞こえてきます。しかし、「待ったなし」の時期に来ているのはみなさんご理解されたと思います。埼玉県全体では「荒廃農地B分類」(再生利用が困難と見込まれる荒廃農地)が27%(H23農林水産省調査)ですが、全国ではなんと! 45%にも達しているのですから。


* 所沢市農業振興課出前講座2013.5を中心とした「所沢の“農"事情第1〜4回」を終了します。次回からは、シリーズUとして、筆者が参加した所沢市民大学20期2年次「日本の農業グループ」の「所沢の農業」についての研究をご紹介します。同グループは所沢の農家や団体を訪れて実態を把握し、提言にまとめ上げました。今回までの「所沢の“農"事情」シリーズを思い出しながらレポートを読んで頂くと、実情のご理解の助けとなることでしょう。




>> トコトコ農園 <<
「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:support@ganbare-nougyoujin.org