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トコトコ農園通信

2010年11月20日 更新

小麦つくりにトライ


「トコトコ農園」のアドバイザーをお願いしているK子さんの近頃の口癖が「百姓は馬鹿じゃ出来ない」である。

生涯米を作り続けてきたこの国の農家は非農家の目には、単調な米作りを営々と繰り返してきたように写るが、実はけしてそうではない。

毎年肥料を変えてみたり、新しい農法にチャレンジしてみたり、創意工夫を凝らしている。

物づくりという視点ではひとつの仕事を何十年と続けるのは百姓も職人の世界と同じである。

しかし職人の世界とは少し違うのは農業は自然を相手に作物という生き物を扱う仕事である。今夏のような異常気象下では培ってきた経験知がほとんど役立たなかった。さしものベテラン農家でも栽培に失敗した例をあちこちで見聞きした。農業は自然という畏敬すべき枠組みの中でしか、知恵と努力を傾ける術しか持ち合わせないようになっている。


使い古された概念だが「百姓」は百の仕事をこなせる職業という意味を持つ。さまざまな知恵と知識を身につけなければ、優秀な「百姓」であり続けるのは難しい。

しかし昨今、野菜専業農家の例をとれば多品種少量生産している農家はほとんど見当たらない。大半の農家は3種類前後の商品作物に絞り、そのほかは自家消費する野菜だけを細々と多品種作っているのが現実だ。


埼玉県西部から北関東にかけての一帯は地質の関係から畑作中心の農業が行われてきた。

小麦の主たる生産地は北海道だが、栃木、群馬、埼玉、茨城の4県は全国の小麦生産高、ベスト10にランクインしている。とはいっても4県あわせた全生産量が北海道の4割程度しかないが。

埼玉県西部に位置する所沢は冷涼で乾燥気味の気候と水はけの良い土地柄で、小麦の栽培に適している。市内にはおいしいうどん屋が集まる小麦文化圏に属する。

11月、秋が深まる頃あちこちで小麦の種が播かれ、冬空のもとでの麦踏は見慣れた光景だったらしい。しかし現在の所沢の農家で小麦を栽培している農家、とりわけ「トコトコ農園」の周辺ではほとんど見かけない。商品作物としての経済合理性が失われたのがその大きな理由だ。自家消費用にしても、手間を考えれば輸入ものを買ったほうが安くて手っ取り早い。


来年、開園3年目を迎える「トコトコ農園」だが、私自身がもともと好奇心から何事にもトライしてみたいという性格のため、野菜だけではなくほかの作物も作ってみたいという思いが強い。今年、100平米を割いてスイカとカボチャを作ったが、そのあと地に何を作るかはまだ決めていなかった。野菜作りの基本は一に土壌、二三がなくて四に土壌といわれるくらい、いい土作りが出来れば、いい野菜が出来るといわれている。1年目はチップ堆肥をすき込み、二年目の今年はトンプン堆肥を主体にした土作りを試みた。

そして3年目を目前に控え、土壌改良のひとつの方法としてイネ科を利用してみようと考えた。

具体的にはあと地に小麦を播き、小麦の根の力で土の固い層を突き崩し柔らかくすること。うまくいけば来年の梅雨の前に収穫の予定だが、刈り取った麦わらはスイカとカボチャ畑に敷き藁として利用できる。もちろん、収穫した実は粉にして、収穫祭でパンやうどんにしてみんなで味わいたいという楽観的希望もある。


こうと思ったらすぐに取り掛かりたくなるせっかちな性分で、種の手当てがないまま畑の準備に取り掛かってしまった。トンプン堆肥と油粕を施し、10日から2週間、間をおいて肥料がなじんだ頃合に種を播く。

まず近くのJAの購買に種の有無を問い合わせた。しかし意外な答えが帰って来た。えん麦のような土壌改良目的の種は販売しているが、小麦は扱っていないというのだ。

だが、種まきまではまだ時間の余裕はある、その間に種を探せばいい。


冬場は何度となく麦踏を行う。寒風吹きすさぶ中、靴底から土の冷たさと固さがじかに伝わってくる。自分の手で、いや足で麦を育てているという実感を味わえるのもまた楽しからずや、である。


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「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:koji@ganbare-nougyoujin.org
ブログ:畑にそよぐ風(http://nougyoujin.blog.so-net.ne.jp/