前号(3月20日号)をお届けしたのが東日本地震発生から9日を経過した時点だった。現在、大地震から3週間あまりがたっているが、連日、福島第一原発事故の一進一退の状況を追いかける情報が目立つ。被災地に暮らす人たちの苛立ちと不便さは想像を超えるものだろう。街のインフラがほぼ壊滅状態で、体力のないお年寄りや子供には暗闇と氷点下の寒さは過酷すぎる。避難生活がいつまで続くのか、先が見えないことが一番の不安材料だ。いまだに復興のアウトラインが描けていないのが情けない。
「トコトコ農園」がある所沢市は大地震の直接的な被害は全くといっていいほどなかった。我が家は本棚から横に積んでいた本が数冊落ちた程度だった。ただその後の地震後遺症とでもいうのか、震災の影響がジワジワとでてきた。食品の買いだめとガソリンの一時的な品不足で車の足が奪われ、なおかつ計画停電で停電の時間帯は信号機が停止して、作業日に参加できない人がでてきた。
しかし、自転車で無理してこられないことはなく、省エネと健康のために自転車利用者が一気に増えた。遠い人でも車との時間差は10分から15分というから、これを機に自転車を新たに購入してそのまま自転車派に転向した人もでてきた。
ちょうどこの季節の日中は暑くもなく寒くもなしで、風を切りながら畑道を走るのも案外悪くない。
さて、肝心の作業だがこの2週間で随分はかどった。
まずトウモロコシは7畝作り、エダマメも6畝作った。ツルナシインゲンは2畝作る予定で、畝の準備も終了した。
育苗温室のなかにはカボチャ、スイカ、トマト、パセリと3種類のハーブ類の種を播いた。
夏とり白菜、サニーレタスは芽だしをして室温20度近くの温室内で順調に生育している。
そろそろ移植の時期が迫っている。
畑にはホウレンソウ4畝、コマツナ3畝があと10日もすればいっせいに収獲を迎える。夏ダイコン3畝も本葉が出始めた。豆類はキヌサヤ2畝、ソラマメ2畝が日に日に成長している。ソラマメは花をつけるまでになってきた。
また昨秋はじめて小麦を播いたてみたが、この暖かさで一気に成長して、草丈も30センチ前後になった。
現在せっせと収獲しているのがハクサイの菜花だが、さっと湯がいて醤油をたらして食べている。菜花の類は葉も茎も柔らかく、葉もの類が収獲できるまでのつなぎ役として貴重な存在だ。
放射能汚染の風評被害で野菜農家や酪農農家がとんでもない痛手を喰らっている。
しかし、冷静な判断と行動をとられる人も少なからずいて、心強い。私たちが出来る被災した人たちへの支援は風評被害を受けた野菜をせっせと買って食すことだ。これが農家にとっては一番ありがたい。そして一番勇気付けられる。
「トコトコ農園」の野菜がどの程度放射能汚染されているかはさっぱりわからない。汚染検査の費用は1品につき8万円を超える額だ。当然、そんな検査を依頼するほど余裕はない。仮に健康被害が現れるのが30年後、という話を信じれば私などはその前にとっくにくたばっているから関係ない。
来週4月9日(土)はトコトコ農園の開園3年目を迎え、記念食事会を畑で行う。世間は花見も自粛、各種イベントも行われずさびしい桜の季節を迎えた。しかし、トコトコ農園の開園記念イベントはしっかり行う予定だ。会員も楽しみにしている。
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