ネギとタマネギは個人的にどうもイマイチ得意ではありません。
鍋のネギ、薬味としてのネギ、チャーハンの香付けとしてのネギ、納豆に入れるネギなど、けして料理の主役にはなれないけれど、いわばドラマを引き締める名脇役のように料理の味を引き立てる役回りとして存在感のあるネギです。
存在感といえばタマネギもまたシチュウ、カレー、ハヤシのような甘みとコクが決めてとなる煮込み料理に絶対欠かせない食材です。
ネギは和風、タマネギは洋風の違いはあるものの脇役として両者ともに立派な名優です。時にはネギヌタ、オニオンスライスのように主役をはることもあります。ただ作品的には万人受けする娯楽大作ではなく、ATG映画のような良質で通好みの作品の主役といった役回りを演じています。
ネギ類はいわばあくの強い個性派俳優のようなもので人によっては好き嫌いがはっきり分かれる傾向があります。ネギ類独特の強烈な臭いが合わない、食べられないという人もある一定数存在します。
ところで個人的にはネギもタマネギもあまり得意ではないといいましたが、それは食べ物としてではなく紛らわしい表現で恐縮ですが、過去2年間ネギとタマネギをうまく作ることができず、作物として育てるのが得意ではないという意味なのです。
特に開園1年目のタマネギは苗がうまく育ったところ、年末にかけての季節外れの多雨で大半の苗が溶けてしまい移植すら出来なかったのです。
そして開園2年目の昨年はこの周辺ではタマネギの種まきが9月20日ごろまでが最適なのに、9月まで続いた記録的な猛暑で苗作りにとって最悪の気象条件でした。
案の定、本植えの11月を迎えても苗は茎の太さ、高さともに不満足でした。しかし本植え時期をずらすとどうなるかが気にかかり、一か八かで移植をしました。
結果は案の定、春になって暖かくなっても一向に大きな球になりません。結局収獲したタマネギはピンポン球の大きさしかなく、丸ごとシチュウに放り込むくらいしか、使い道がありません。実に情けない話です。
タマネギは9月中旬に種を播き、発芽するまでは乾燥に気をつけ畝全体を不織布で覆い、発芽後も適度な水遣りや雑草とりが必要です。
種まきから50日ほど経過すれば鉛筆くらいの太い茎と本葉3〜4枚、高さが25センチくらいのがっしりした丈夫な苗に育て上げることが出来れば上出来です。
11月になると肥料食いのタマネギは堆肥をたっぷりすき込んだ畑に本植えを行い、年を越した2月、3月くらいまでに追肥を施し、あとは6月以降の収獲を待つのです。
3年目の今年は9月17日に中晩成と晩生の2種類の種を播きしました。1週間もするとすじ播きした種が発芽してちょうど2週間目の状況は写真の通りです。
タマネギの種まきは年1回で収獲までは8ヶ月から9ヶ月もかかります。したがって失敗すれば通年収獲できるコマツナのようにやり直しがきかないのです。
大きな球になって収獲できればその喜びはとても大きいのですが、その逆はかなりがっくりします。3年目の今年は絶対に失敗は許されません。来年の6月以降には胸を張っていい報告が出来ればと考えています。
さて一方、ネギのほうですがタマネギ同様、発芽がうまくいくかどうかが第一関門で、本植えまで丈夫な苗に育つかどうかが成功か失敗の分かれ道になります。
今年の3月19日に「汐止晩生ネギ」と「ホワイトスター(タキイ)」の2種類の種を播き、それぞれうまく発芽したものの、「ホワイトスター」が途中で苗が枯れてしまい第二関門でつまずくこともあります。
乾燥を嫌うネギ類は発芽するまでの水遣りは欠かせず、神経を使います。本植えまでの間、雨が多くても、逆に乾燥しすぎても生育に大きな支障が出るのでネギは結構デリケートなところがあります。ただ、ある程度育つとネギは逆に逞しすぎるほどで丈夫な一面を持ち合わせています。
またネギがタマネギと異なる点はネギが春と秋の2回種まき出来るところです。
今年3月中旬すぎに播いた「汐止晩生ネギ」は分けつ性のネギで「ホワイトスター(タキイ)」は1本ネギです。「汐止晩生ネギ」の移植は7月に行い7畝のネギは現在順調に育っています。土寄せごとに追肥をして11月には収獲の見込みです。
そして今月10月に入って早々に秋播き、翌年夏に収獲する「夏扇2号(サカタ)」の種を播く予定です。これは茎の白い部分が長い1本ネギの系統です。今春に失敗した「ホワイトスター(タキイ)」と同じ系統の種類です。今度はうまく育てて、失敗を取り戻さなくてはなりません。
このようにタマネギもネギも8ヶ月から11ヶ月という長い時間と手間をかけて収獲に結びつくため、「トコトコ農園」のように年間30種類以上の作物を育てているところでは畑の端のほうにまとめて植えるのが常識です。「トコトコ農園」は今年から畑の面積が増えてスペースに余裕がでたため、生育に時間がかかるネギ類は面積が増えた第2農園のほうで本植えする予定です。
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