ここ数年の異常気象に関しては耳にたこが出来るくらい話題として取り上げられる。
野菜つくりと異常気象の関係についていえば、やはり夏場の猛暑とゲリラ的豪雨がもっとも厄介である。
近年の傾向として夏と秋の境目が実にあいまいになってきている。
昔、といっても私の高校時代の頃だから四十数年前だが、プールの水温でいち早く秋の訪れを体で感じることができた。
水泳部に属していたので二学期が始まる少し前まで部活動があり、夏の太陽に温められたプールの水は時に生暖かいときもある。しかし、新学期の9月に入ると途端に水が冷たくなる。プールに入る前に体に水をかけてならさないと、一瞬息が止まるほど水温が低くなっている。おそらく日中の気温はそれほど急激に下がらなくても朝夕の気温は夏に比べ、下がってきている。そのためプールの水温もぐんと下がるのである。
高校の3年間は9月のプールが秋の到来を教えてくれた。
昨年の猛暑は記録的で8月のばかばかしいほどの暑さが9月に入っても続いた。
今年の夏のひどさは昨年ほどではなかったが、異様に早かった入梅時期、記録的豪雨をもたらした台風被害と農業にとっては厳しい試練が続く。
サトイモは周囲の農家を見渡しても出来のいい農家は極端に少ない。ニンジンの収獲期間が例年より10日以上も延びている。ナスとキュウリ、ピーマンは比較的順調だったが、トマトは成長期と早すぎた入梅が重なり、その影響を受けてか出来はいま一つよくなかった。
昨年の10月20日号の文章を読み返してみると秋冬野菜の代表であるブロッコリー、ハクサイ、キャベツの苗つくりは8月から始まるが、暑い時期の苗作りの知識不足により、何度か種まきをやり直したり、あるいは満足のいく苗が出来なかったりで、苗の移植が丸々1ヶ月ずれて10月になってしまった。
しかし10月が例年の9月並みで、ちょうど気象が1ヶ月ずれているから、もしかしてうまく育つかもしれないと考えていた。しかし、これはあまりにも身勝手で希望的観測だったことが秋冬野菜の大半がほとんど壊滅的な結果でしっぺがえしされてしまった。
さて今年の秋冬野菜は昨年の貴重な経験をどう活かしたのか、活かせなかったのか。
昨年の苗作りの失敗を繰り返さないようにと、今夏は親しくさせていただいている近所の農家に依頼してJAが手がけているキャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワーの苗を事前予約して購入してみた。
8月末から9月はじめにかけてそれぞれの苗を本植え用の畝に移植したが、ブロッコリーとカリフラワーは4割、ハクサイは5割がた根付く前に暑さでとろけてしまった。最悪だったのはキャベツで苗の総てがやられてしまった。
キャベツについては年内収獲をあきらめて現在、種をポットに播いて育てている最中である。
昨年に比べれば異常気象の等級は随分低くなったが、それでも四十数年前に比べるまでもなく秋は何時までも暑い。昨年の貴重な経験を活かしきったかというと、結論としてはまだまだ不十分だったというところだろう。
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