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トコトコ農園通信

2012年2月5日 更新

春にむかって畑の準備


3年前の今頃、「トコトコ農園」オープンのための準備作業として畑に大量の堆肥を播きました。

今年もまた所沢市内の業者から鶏糞に剪定枝チップを混ぜて完熟させた堆肥を6t購入しました。川越から所沢にまたがる三富地区には落ち葉堆肥を活用した伝統農法が生きており、「トコトコ農園」もまたそれに習った農法で野菜作りを行っています。

いま「トコトコ農園」の畑はダイコン、ハクサイ、ネギの収穫がいよいよ終盤になり、毎年2月は春にむかっての準備が堆肥播きから始まります。

「トコトコ農園」オープンに際して掲げた理念は「有機無農薬野菜」を「協同耕作」し、「均等配分」することでした。

農園をオープンした当初は野菜を有機無農薬で作ることは難しい、あるいは無理だと断言する人もいました。昭和30年代に大学で農学を学んだ人のなかには有機無農薬栽培など不可能で、特に素人集団ができるわけが無いとまで頑なに自説を説く人もいました。

しかし、過去3年間、有機無農薬栽培が原因で病虫害を被った事例は見られません。

せいぜい、アブラムシと根きり虫による被害と雉による鳥害対策を行っている、そんな程度で済んでしまっています。

昨年の原発事故以来、放射能汚染の拡大はとどまるところを知らず、汚染場所、汚染対象が次から次へとあたらたに発覚し、マスコミに報じられています。

しかし幸いなことに「トコトコ農園」近辺は土壌汚染もなく、鶏糞に混ぜる剪定枝チップも問題はありません。

「トコトコ農園」が使っている鶏糞と剪定枝チップの堆肥はC/N比(炭素率)が14%でチッソ比率が高く(炭素比率が低い)きわめて分解しやすい資材です。これを元肥料として1反(300坪)あたり2tの量を目安に畑にすき込み、健康な土作りを心がけてきました。

畑の土は人の体の働きと同じで十分な栄養と休養をあたえれば、人間で言えば簡単に風邪等ひきません。

有機無農薬栽培は病気になった時の対処法を考える慣行栽培とは異なり、まず病気にかからない、あるいはかかりにくい健康な土作りをすることに主眼をおく農法です。

従って農薬を使用する必要が無いのです。

あえて農薬らしきものといえばアブラムシ対策として、大量の水に界面活性剤入りの洗剤と食用油を少量入れて攪拌したものを使っています。この原理はアブラムシの体表を油膜で覆ってしまい、皮膚呼吸をさせなくして窒息死させる方法です。その効果は抜群でしかも瞬時に結果が現れるという利点があります。今年はアブラムシだけではなく、カメムシのような大き目の昆虫にも試してみるつもりです。

また農園オープン初年度、スイカの苗が根きり虫にやられほぼ全滅したときは、根きり虫を農薬で退治するのではなく、根きり虫が狙うスイカの柔らかい茎をビニールホースで覆う、物理的な対策をとりました。この効果も驚くほど高く、以後根きり虫の被害は一切被っていません。

鶏糞入りのチップ堆肥を元肥として土にすきこむことで、土のなかのバクテリアや昆虫などがせっせと無機質分解し、堆肥はチッソ、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムの他、微量要素も含み肥料効果が高い優れた資材です。

追肥はもっぱら豚糞とおが屑を混ぜ合わした完熟堆肥を使っています。これも市内の業者から購入しています。


このように健康な土作りが病虫害に強い野菜を育てることにつながっていますが、他方多品種少量栽培という昔ながらの農法も影響していると考えられます。

現代農法は生産効率を第一に考え、少品種大量栽培が主流になっています。せいぜい2〜3種類の高く売れる野菜に絞り、市場価格の動向をみて出荷調整をするやり方です。

少品種大量栽培は虫から見れば好物の餌が大量に目の前に作られている状態です。虫は餌が豊富にあればどんどん食べてどんどん子孫を残すことができます。

自然界ではある虫がある好みの植物を餌にする場合、その植物が全滅するまで食べつくしてしまうことはありません。必ず植物が再生できる程度の量しか食べません。なぜなら餌を食べつくしてしまえば、虫もまた生きることができないからです。

自然界では植物であれ、昆虫であれ同一種が大量に生育することはめったにありません。時々ある種の虫が大量発生するのは自然のバランスが何かの拍子で崩れたときに起こります。

「トコトコ農園」では年間40種類近くの作物を作っています。そのためでしょうか、特定の野菜が特定の害虫に総て食い尽くされるという事例は起きていません。

自然界は多種多様な生き物の複雑な絡み合いとバランスの上に成りたっています。同じ種類を同じ畑で毎年繰り返し作るということは、あまり適切な喩えではありませんが偏食が健康に悪い影響を及ぼすようなもので、いつか体のどこかに変調をきたし病に犯されてしまいます。

少品種大量栽培はいわば偏食のメカニズムに似ているので、病虫害が起こりやすく、その際には農薬で病原体を力ずくで押さえ込んでしまうやりかたです。

最近の農薬は以前のそれに比べ、飛躍的に安全でもっとも危険な薬剤は家庭で使われている殺虫剤であるといいます。

だからといって「トコトコ農園」では農薬を使うことはしません。なぜなら根本的な考え方が異なるからです。


有機無農薬栽培は自然に逆らわず、逆に自然のもつ力を引き出すような自然農法の一種だと思います。言い換えれば悪いところを外科的に切除してしまうやり方ではなく、悪くならないような健康な体作りをすること、それが有機無農薬栽培の考え方です。


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2tトラックで運ばれた鶏糞堆肥

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1反(300坪)あたり2tの堆肥を入れる

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畑に積み上げられた堆肥の山

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鶏糞と剪定チップを混ぜ合わせた堆肥

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人力による堆肥散布

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トラクターを使った堆肥散布

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石灰と堆肥を同時に散布する

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散布した石灰と堆肥をトラクターで土にすき込む



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「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:koji@ganbare-nougyoujin.org
ブログ:畑にそよぐ風(http://nougyoujin.blog.so-net.ne.jp/