早いもので「トコトコ農園」をオープンしてはや3年が過ぎ、開園4年目に入った。
例年、4月の第1土曜日に開園を祝ってきたが、今年はその日があいにく、お隣の狭山市の健康増進施設「サピオ」で行われている「春のふれあい健康フェア」に野菜の直売で参加したため第2週目の土曜にずらして「開園記念」を行った。
今年に入ってなぜか雨にたたられる土曜日が続く。「開園記念」行事も開始前から冷たい雨が降り続いた。食事の準備の都合上、先延ばしができなかったので、雨を承知で決行した。予報では霧雨が一日中降り続くと聞いていたが、ときおり雨脚が強くなり雨よけのブルーシートに貯まる雨がどんどん増えてくる。貯まった雨でブルーシートは馬の腹のような形に変形していく。
いつものようにパーゴラの上にブルーシートを張って雨対策を施したが、ブルーシートは晴れてははずし、降っては覆いの繰り返しであちこちに穴が開きはじめた。さながら昔の三軒長屋のようにあちこちで雨漏りがする。仕方なく防水テープを貼って急場をしのぐ。
それでも雨は小さな穴を探して容赦なく染み出してくる。これ以上ないだろうというくらい最悪の状況なかの「開園記念」だったが、全員の協力でなんとか最後までやり終えることができた。
食事の支度は女性陣にお願いして、男性陣はもっぱら火おこしと雨もり対策係りである。
祝い事の定番メニューといえば赤飯だ。
毎年蒸篭を使った本格的な赤飯つくりを行っている。赤飯つくりは火曜グループの女性陣が担当しているが、年々こつを飲み込み腕を上げてきている。一粒一粒もち米が立っていて店が開けるほど実にうまい。
人は誰しも食べ物の好き嫌いがあるが、赤飯が嫌いで食べられないという人には出会ったためしがない。
祝い事といえば赤飯とともに尾頭付きの鯛も定番である。
鱗と腑を取り除いて尾に塩を厚めにつけて焼き、塩味の淡白な身を食べたあとは骨でだしをとる。がっしり硬い鯛の骨には旨み成分が詰まっていて、身と同じように淡白で上品な出汁が骨から染み出してくる。
昭和30年代から40年代初めにかけて、風呂敷で包まれた結婚式の引き出物ののなかに経師(きょうじ)に入った赤飯と焼いた鯛が入っていた。冷え切った鯛は身をほぐさず、そのまま切り分けて鍋に入れ、塩と少しの醤油を入れて味付けした鯛の澄まし汁をいただくといまでも子供の頃を思い出す。
経師は発泡スチロールかプラスチック容器にとって代わられたが、赤飯の余計な水分を吸い込み、乾燥しすぎれば水分を吐き出し、優れた保湿機能を持っていて、赤飯の程よい硬さを保つことができる。これが発泡スチロール製の容器だと、底に水分がたまり、べちょっとした赤飯になってしまう。経師に張り付いた赤飯をこそげ落として食べたのを思い出す。
残念ながら「開園記念」には鯛の澄まし汁ではなく、定番になりかけている「トン汁」である。赤飯とトン汁を同時に作り始めたが赤飯は炊き上がりまで約1時間かかる。トン汁はそれより早めにできあがり、先に食べることにした。今日のような2月下旬から3月上旬並みの寒さにはかえって熱々のトン汁があっていたようで、大鍋で作ったトン汁の売れ行きは良い。一人軽く2杯はおかわりしただろう。
トン汁をほぼ食べつくしてまもなく赤飯が炊き上がった。こちらもおかわりをしてさらに残った赤飯は持ち帰ることができた。
食事をしながらゆったりとした時間を過ごしたかったが、雨脚はさらに強くなり、気温も下がっていく。風邪をひいては元も子もないので、早々に後片付けをすませあわただしく解散してしまった。
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