いまどきの女性にとって結婚相手の条件の一つに家事全般を含む「料理が出来ること」が上げられる。
私が結婚適齢期だった大昔は結婚相手としての男の条件といえば「高学歴、高収入、背が高い」のいわゆる「三高」だった。
しかし、リーマンショック以降はたとえ高学歴でも就職難から正社員になることすら難しくなってきた。そして不幸にも正社員になれなければ高収入を望むのはかなり難しい。それどころか派遣はいつ解雇され無収入になってしまうかわからない。
今の世の中、女性は「三高」の夫に養われて専業主婦する時代でなくなった。これからはさらに経済情勢が好転するとは到底思われず、ダブルインカムが夫婦のスタンダードなライフスタイルになってきている。
そのため家事は夫婦が分担しあい、子育ても夫が積極的に関ってきている。「イクメン」とは育児を楽しみ、率先して子育てをする男のことだ。
このようなライフスタイルが定着してくると男がキッチンに立って家族の食事を作るのは当たり前になっている。現在の60歳以上の男にはとても信じられない光景が家庭のなかで繰り広げられている。
男が料理をする必要に駆られるのはなにも若い男性ばかりではない。
60歳過ぎの男たちも極力、料理はしたほうがよい。女の平均寿命は男のそれよりも常に上回っているが、それは統計上の平均値であり、妻に先立たれた男も多い。また昨今はシニアの「女子会」も盛んで妻が家を空けることが多くなった。女友達同士で海外旅行をするケースもかなり増えてきた。
シニア男性の自立の第一歩は料理が出来ることだ。いつ何時、料理をしなければならない事態が起きるやもしれない。そのとき、初めて包丁をにぎるのでは遅すぎる。生きることは食べることである。洗濯や掃除は毎日しなくても人間、死にやしない。しかし、食べることはそうは行かない。しかし今はコンビニ、弁当専門店、宅配惣菜など料理をしなくても食べることに困らない。だからいまさら料理を覚えなくてもいいのでは、という意見もある。確かに食べるだけならその通りだろう。
しかし、料理をすることは食べるという目的にとどまらないところがある。
別な角度で考えると料理は意外に楽しいものである。そしてかなりクリエイティブであり、あれこれの工夫によって料理は千変万化する。頭の体操にもなるし、手や指先を使うことで、脳の活性化にもつながる。
女が男に比べ長生きなのは生物学的理由もあるのかもしれないが、女にとっての毎日の家事は適度な運動になり、手先を使い、料理の献立を考えることで脳の働きにもプラスに作用する。
そのような理由から、「トコトコ農園」の男性会員にぜひ、料理に興味を持ってもらい、周年行事である「開園記念」や年2回の「収穫祭」などで料理を一度、男に担当させてみたいと前々から考えていた。
そして今回、「春の収穫祭」で男性会員による料理を半ば強引に決めてしまった。
作った料理はポテトサラダ、ぶりダイコン、たらこスパゲッティ、スープは定番のトン汁に代わりミネストローネにした。
それぞれの料理の材料はダイコン、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、キャベツ、ナス、レタスを自前の収穫物で、それ以外のキュウリ、トマトなどは収獲に間に合わずスーパーから調達したもので間に合わせた。
ポテトサラダ、ぶりダイコンは新入会員のIさんが担当してくれた。
収穫祭前日にじっくり3時間かけて煮込んだぶりダイコンは骨も柔らかく、ダイコンにぶりの旨みがしみこんでなかなかのものだった。ポテトサラダはマヨネーズを一切使わず素材のうまさを引き出し、かつヘルシーな一品だった。
今回の男による料理担当を決断したのもIさんの存在が引き金になった。自ら手を上げて料理担当を買って出てくれたことが大きかった。
パスタとスープは料理好きな3名が中心になって、それなりの出来上がりで満足してもらえたと思う。
男の料理にありがちな手順と手際の悪さもなく、逆に予定より早く完成して女性会員には随分喜ばれた。これからも男の料理担当を定例化して、いろいろ趣向を考え試行錯誤していきたい。
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