今年前半の目立った点は2つ。
一点は春・夏野菜の育苗時期が例年になく寒く、育苗小屋の室温も上がらず、苗作りがかなり遅れたことである。そのため育苗小屋がブロッコリー、ハクサイ、リーフレタスの春野菜とトマト、キュウリ、ピーマンの夏野菜の一部に育苗室が占領され、カボチャ、スイカの育苗スペースがとれなくなり、やむなく野外での直播方式による育苗に急遽変更したこと。
そして第二点は7月末から8月にかけての秋冬野菜の苗作りが異常な暑さ続きのため難しかったことである。
春先は気温が上がらず、秋を目前にしたこの時期は9月になっても猛暑続きでともに育苗作業と苗の移植後の成長に大きな影響が出たことである。
特に今年の夏は一昨年の状況によく似ていて9月になっても厳しい暑さが続く。さらに苦労して苗を育てても、移植後の熱さと雨不足で苗の立ち枯れが目立つ。
「トコトコ農園」では毎年、栽培する種類は35種類前後でほぼ固定化してきている。
ただ、種類によっては前年とは違った品種を作るようにしている。
一例をあげるとスイカは昨年、3種類の品種を栽培してみた。1種類は毎年作っているタキイの「カメハメハ」というラクビーボールの形をしたもので、大きさ、甘さ、色の鮮やかさの点で三拍子揃いの品種で会員には好評な種類である。
他の2種類はボール型の一般的なものを作ってみたが、「カメハメハ」には到底かなわなかった。そこで今年は「カメハメハ」1種類に絞って70本の苗を育てた。
いつもはポットで苗を作り、適度な大きさに育ったころ本植えをしてきた。しかし今年は育苗室が遅れ遅れになったブロッコリー、キャベツ、キュウリ、ピーマン、トマトなどで占領されたため、仕方なくカボチャとスイカは野外での直播方式による育苗に変更した。
苗の育ち具合は育苗室で育てたものと遜色ないものだったが、苗を移植する際に大きなミスをしてしまった。
スイカもカボチャも土をつけたままそっくり掘り返し、移植すべきだったが、それぞれ70本の苗は本数が多かったこともあり、手抜きをして土を落として移植してしまった。
カボチャは生命力が強いので順調に根付いたが、スイカは移植後10日前後で、3分の1が立ち枯れしてしまった。残った苗も元気がなく今年はスイカの収穫が無くなるのではないかと危惧をした。
スイカは結果的に収穫がかなり遅れさらに収獲数が当初見込みより大幅に減ったが、そこそこ形と大きさが揃い、いつもの甘くて美味しい「カメハメハ」を収獲することができた。
前半の通してみると年初に収獲する豆類(キヌサヤ、スナップエンドウ、ソラマメ)はソラマメを除き例年になく多収だった。またツルナシインゲン、枝豆もよく育ち、豆類は全体的に順調だった。ダイコン、ニンジンも良く出来た。
春先に苗を移植したブロッコリーとキャベツは手間を省くためにマルチとトンネル掛けを省略した結果、青虫に散々食べられ、痛いしっぺ返しを喰らってしまった。反省しきりである。
トウモロコシと枝豆は時期をずらして2回に分けて作ってみたが、トウモロコシの2回目はアワノメイガの幼虫被害にあってしまった。トウモロコシは少し早めの時期に種まきをしないと害虫被害にあう確率が高くなることがわかった。同じように枝豆も2回目はうまくいかなかった。やはり種のまきどき、苗の移植のタイミングが微妙にずれると思い通りにはいかない難しさがある。
トマトは今年初めて苗の移植のときに斜め押しという方法を取り入れてみた。
斜め押しは根張りがよくそのため収獲期間も伸びるという話だったが、おそらく極端な雨不足で逆に例年より収穫量、収獲期間ともに不満が残った。また雨不足はナスの生育にも影響をもたらし、移植したな苗の3分の1が立ち枯れしてしまった。ただ残った苗は収穫量とできばえもよかったのは幸いだった。
毎年35種類前後の作物を作っているが、毎年少しずつ品種を変えたり、植え方を工夫したり、天候に合わせて種まきの時期や苗の移植のタイミングを調整している。
その意味でマニアルどおりに出来ないのが農業の難しさであり、面白さでもある。
これから後半戦は秋冬野菜の時期に入る。秋どりのニンジン、ハクサイ、ダイコン、そしてタマネギの苗作りも迫っている。去年の経験が今年活かされない気象条件のもとで自然との知恵比べがまた始まる。
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