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トコトコ農園通信

2013年11月5日 更新

小麦の顛末


3年連続で小麦を作って来たが今年は少々スケジュールが狂った。


小麦は例年、梅雨の晴れ間に一気に刈り取り、その場で脱穀をして、その後お盆前後までに3度ほど天日干しをして、遅くとも9月には製粉所に持ちこんできた。

しかし今年の小麦の収獲量は去年の半分以下でのっけから大幅に予定が狂った。これが最初のつまずきである。


去年は30kg入りの紙袋で2袋とプラスアルファーの量が取れたが、今年はなんとか1袋ぎりぎりだった。減収の理由は昨年の12月の雨不足である。例年11月に種まきをして12月末には第1回目の麦踏をしていたが、今回は遅れに遅れて年を越した今年1月末近くにやっと麦踏をすることができた。しかも芽だしをしたものが播いた種の約半分で、この時点で今年の収獲量は大幅に減ることは予想できた。


収穫・脱穀後の天日干しは雨が少なく、作業はスムーズにすすんだ。そして9月早々にいつもの製粉所に連絡を取ったが、昨年末で店を閉め廃業してしまっていた。廃業の理由は奥さんが亡くなられ、自分ひとりでは作業は出来ないというものだった。第二の大きなつまずきである。


市内の製粉所を洗い出し、電話をかけまくったが半分はすでに廃業しており、残りの半分は小口の製粉の取り扱いをしていない。

仕方なく、近隣の各市ならびに三多摩地区まで広げて小口を扱う製粉所をネットで調べあげ、片っ端から電話をしまくった。


しかし、製粉所事情は所沢市と変わらず、何処も似たり寄ったりでいたずらに一ヶ月近く時間が過ぎてしまった。

農園の会員に製粉事情を説明して、情報を募ったら三ケ島地区(早稲田大学人間科学部・通称所沢キャンパスのある地域)に1軒だけ事業を継続しているところがありそうだという。

そこで早速電話をしてみたが、連日午前も午後も留守電になっていて、どうもいやな予感がした。少し時間を空けてかけてみたら翌週にやっと電話が通じた。しかし奥さんが緊急入院をしてその付き添いで家を空けている状態で、事業再開の目途が立たないという返答だった。

苦労して作った小麦が宙に浮きそうで、そうなったら最大で最悪のつまずきである。


それからまたしばらく有力な情報もなく、今年中に製粉は難しいかなと思っていたそのとき、会員から埼玉県の真ん中に位置する林業の盛んな都幾川町の製粉所をおしえてもらうことが出来た。

都幾川町は所沢から車で約1時間半ほどの距離で梅林で有名な越生町の先にある。越生町の手前は毛呂山町で先ごろ世界水泳選手権で400メートル個人メドレー優勝の瀬戸選手の出身地である。毛呂山町役場には「祝・瀬戸大也君」の横断幕が大きく掲げられていた。

「毛呂山」は「もろやま」と読み、「けろやま」とまちかえられてきた町民がやっと正しく読んでくれるようになったと喜んでいた。その昔、高校野球の大分県初出場校の「日田林工(ひだりんこう)」を「にったばやしこう」と読んで話題になった一件を思い出した。


10月の中旬過ぎの金曜にトランクに小麦を入れてその毛呂山、越生を通り越して都幾川町の製粉所にむかった。製粉所はほぼ町の中心にあり、探すのに苦労はなかった。

ただ町の中心といっても片側1車線の道路沿いの目立たない町役場の近くというだけで、何気なく通れば確実に見落としてしまうようなロケーションである。


住居横の作業場の前に車を止め、呼び出しベルを鳴らすと程なく70代後半の温厚そうなご主人が現れ、作業場の3台の製粉機をみてほっとした。


「これで今年も秋の収穫祭をかねたうどん打ちができるな・・」


翌週の月曜の午前中に製粉された小麦粉を受け取ってきたが、製粉前の量は20kg、出来上がった小麦粉は約14kgだった。

ご主人に来年もぜひ製粉をお願いしたいと頼んだら、奥さんが急死されて明日がちょうど四十九日にあたるそうで来年は継続して仕事が出来るかどうかわからないという返事が返ってきた。


農家そのものが小麦作りをやめてしまっている状況で、かなり無責任なお願いとは承知のうえで、

「そこを何とかがんばって来年も仕事を続けてください。ゆくゆくは息子さんかお孫さんに跡を継いでもらって・・・」


こうして今年の小麦の顛末は昨年より1ヶ月以上遅れの11月30日に「うどん打ち」を行うことになった。

そしてどうなるかわからない製粉所事情をかかえながら、「来年は来年でまた何とかなるだろう」と、とりあえず2kgの小麦の種を10月末に播き終えた。



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製粉所の内部

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3台のなかの1台はそば用

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モーターを回すファンベルトが勢いよく回転していた

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来年用の小麦の種まき

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種まき作業は軽作業なので女性が中心に。

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2kgの種を12列に播いていく



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「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
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メール:koji@ganbare-nougyoujin.org
ブログ:畑にそよぐ風(http://nougyoujin.blog.so-net.ne.jp/