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トコトコ農園通信

2014年2月5日 更新

久々の滝山農業塾訪問


滝山農業塾との出会いは2007年7月、ユニークな活動を続ける体験農園が東京郊外にあると聞いて、東久留米市にある滝山農業塾を訪れた。

住宅地に囲まれた約2反(600坪)の野菜畑に近くの小学生が食育授業の一環で、先生に引率されて集まっていた。

この日は低学年の授業で大根の収穫が目的だった。中にはまだ幼稚園児と見間違えるくらいの小さな子供たちも含まれていた。大根は小さな子供の背丈の半分くらいの大きさで、農園の人たちの手助けを受けながら収穫を体験していた。太い大根を引き抜く、その反動でしりもちをつく子もいる。

NPOのホームページに記事掲載するため食育の現場を取材するために来たのだが、農業塾の会員はほぼ全員、退職した男性で孫世代の子供たちの食育授業に協力をしていた。

「滝山農業塾」は2004年に体験型の市民農園として開園し、市の広報紙で会員を募集した。この広報紙を見た奥さん方が、定年後のご主人たちの健康的な趣味と地域の仲間つくりにぴったりと考えてご主人に会員になるようすすめたという。


「滝山農業塾」の榎本塾長は代々の野菜農家のご主人で、毎週水曜と土曜に会員に野菜つくりを指導してきた。ホウレンソウや小松菜の葉物類、大根、人参の根菜類、ナス、ピーマン、キュウリ、トマト、トウモロコシ、白菜、ブロッコリーといった季節ものを含め、年間約30種類を超える作物を栽培している。


会員の大半は退職された方々で、早期退職をした私自身にダブルところを見たようで、取材から2か月後に榎本塾長に入塾を願い出ることになった。

私が住む所沢市から農園までは車で約30分の近さで、それほど負担にならなかったことも入塾のきっけになった。


「滝山農業塾」のある東久留米市は西武池袋線の「東久留米」駅を中心に昭和30年代後半に住宅公団(現UR都市機構)が大型の郊外団地を次々に開発した地域である。

ひばりが丘団地、東久留米団地、久留米西団地、そして「滝山農業塾」のある滝山団地。

これら大型郊外型団地に住む大半の人たちは都心の企業に勤めるサラリーマンである。

東久留米市は西東京市、清瀬市、東村山市、小平市に囲まれた比較的こじんまりした市である。この地域の市は武蔵野の雑木林も比較的多く残され、近郊農業も盛んな土地柄だが、畑は年々、住宅地へと姿を変えてきた。


所沢市も似たような状況で、埼玉都民が多く暮らす地域である。駅から車で10分あまり走ると広大な農地が広がっている。その点では団地や住宅地の中に畑が点在する東久留米とは多少の違いはある。

私が入塾して2年半、榎本塾長から野菜つくりのイロハを教えてもらったが、同時に体験農園の運営についても、いろいろ教えていただいた。野菜つくりの面白さ、難しさを学ぶうち、所沢でも「滝山農業塾」と同じような体験農園を作ってみたという思いが時間とともに自分自身の気持ちの中で強くなってきた。


毎週水曜日に滝山農業塾に通いながら2009年2月に幸運にも所沢市下富地区に1反(300坪)の休耕地を借り受けることができ、約2か月の間に文字通り突貫工事で4月に開園にこぎつけた。その間に並行して会員募集のための宣伝、広報活動を展開し、結果的に2009年度に15名の男女が会員として集まってくれた。

農園の名前は所沢の「トコ」をもじって「トコトコ農園」と命名した。あえて軽いノリのネーミングにしたのは、男女問わず気軽に入園できそうなイメージを強調したかったからだ。野菜つくりを通して地域の人たちの交流の場になればと考えた結果でもある。


それと野菜の栽培法は自分たちが食べる野菜が極力安全であることを願い「有機・無農薬」で野菜つくりをすることを最大の目標に掲げた。

東久留米の「滝山農業塾」と「トコトコ農園」のもう一つの大きな違いは会員に占める女性の割合(トコトコ農園の女性会員は4割を占める)の違いにある。おそらく育児世代の主婦が想定外に多くなった理由が「有機・無農薬」栽培にひかれたからだろうと考えている。

また体験型農園の特徴であるみんなで一つの野菜を作り、できた野菜は均等に配分するという運営スタイルが支持されたからだと思う。用事があるとき、体調がすぐれないとき、気兼ねをせずに作業を休むことができるという気安さが特に主婦層に受け入れられたのだろう。トコトコ農園は開園5年を経過して約40名の会員とその家族が野菜つくりを楽しんでいる。


「トコトコ農園」が開園したその年の暮れ、「滝山農業塾」に大きな事件が持ち上がった。榎本塾長のお父さんが亡くなり、にわかに相続問題が持ち上がり農業塾が解散するという噂が立った。噂は噂でなくなり2反の農地はその4分の3が住宅地として売却され、畑としては150坪しか残されなかった。あっという間に住宅が畑の際まで立ち並び、かつての広々とした農地の大半が跡形もなく消えてしまった。しかしその後、離れた場所に1反の休耕地を借りることができて、2か所に分散したが農業塾を存続することができた。


私を含め数人がこれを機に退会することになったが、大半の会員はそのまま残り、「滝山農業塾」は今年開園11年目を迎えることになった。


例年新年会を兼ねて1月末の土曜日に榎本塾長宅の庭で芋煮会を行ってきたが、あいにく「トコトコ農園」の作業日と重なり、退会後は一度も参加することができなかった。しかし、今年は1月26日の日曜に行うという連絡を榎本塾長から聞いていたので、久方ぶりで参加することができた。

会員の奥さん方が大きな鍋で芋煮を作り、午前10時には顔なじみの人たちが、白菜の漬物や大根の煮物を酒の肴に、早々と酒を飲み始めていた。

懐かしい顔ぶれがそろい、それなりに皆年を取ったが、酒を酌み交わし、酔った勢いでバカ話をしていると互いに年のことは忘れてしまう。

年齢も比較的近く、野菜つくりという共通の話題もあって話は尽きない。退会した人たちのその後の話題も出たが、皆元気な様子で何よりである。


いい仲間を持つことは大きな財産である。


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メール:koji@ganbare-nougyoujin.org
ブログ:畑にそよぐ風(http://nougyoujin.blog.so-net.ne.jp/