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トコトコ農園通信

2014年5月20日 更新

北道道・岩見沢市の自然農園訪問

(前トコトコ農園代表理事) 神山 光路

札幌に移住して2か月近くたった5月中旬、引っ越しの整理もほぼ一段落し、気温は20度を超える日が多くなってきた。

長くて寒い冬が半年続き、春の陽光を待ち焦がれたように桜、梅、そしてこぶしが一斉に咲きだす。大通公園も陽気に誘われた家族連れでにぎやいでいる。花も人も待ちわび、その反動でせっかちなくらい春の解放感を思いっきり味わっているかのようだ。


引っ越し疲れも取れて我が家にもやっと時間的、精神的ゆとりがではじめたので、車や自転車を使い、まずは自宅からそう遠くないところを重点的に訪れるのが日課になりつつある。


札幌はJR札幌駅から「大通公園」あたりまでは企業、ホテル、北海道庁、札幌市役所などの官公庁が集まっている。「大通公園」を南側に超えると、デパートなど主だった商業施設が集まり、その先は庶民的な飲食店や商店が連なる「狸小路」、そして北国の一大歓楽街、「すすきの」へと続く。

平成24年度の札幌を訪れた観光客は1300万人を超え、うち外国人宿泊客は68万に達している。札幌の人口が190万人なので年間その7倍弱の観光客が訪れる観光都市である。

だだっ広い関東平野は例外としても、多くの地方都市は山や川など自然が身近にある。札幌は藻岩山、円山、手稲山の山裾に人が住むエリアが伸張していった都市で、特に東京23区よりも広い南区などはヒグマが出没するほど自然が深くそして色濃く残っている。


北海道の面積は東北6県に新潟県を加えたほどの広さで、日本一の農業地帯である。

都内のデパートで催される北海道物産展はいつも人でいっぱいで、北海道の食と農に対する消費者の評価はとびぬけて高い。北海道は近年地球温暖化による影響でいまや米どころ新潟に劣らないくらいおいしいコメの産地になっている。札幌に隣接する市町村の農村部に車を走らせると両サイドに広い水田が広がる。1枚1枚の田んぼの面積はとてつもなく広く、ポプラを植えた防風林はだだっ広い田んぼのアクセントになっている。中山間地域の多い内地ではまず見ることのできない異国情緒を漂わせる景観である。

幹線道路の道幅は時に片側3車線になっている。広く直線的に伸びた道ではついつい制限速度を超えてしまいがちだ。交通量も少なくわざわざお金を払って高速道路を利用する気が失せてしまう。


今回は少し足を延ばして札幌の自宅から車で1時間強の岩見沢市の自然農園を営む狩野宅を訪れた。園主の狩野氏は私と同年齢の65歳。奥さんは20年前に子供3人を残し亡くなったが、つい最近25歳年下の若い嫁をもらい、うらやましいほど元気溌剌としている。

農家の4代目の狩野氏は3人の息子と16町歩の農地を自然農法で耕している。

16町歩といってもにわかにはぴんと来ないだろう。トコトコ農園の畑の広さが現在6反5畝(1950坪)、16町歩は160反で坪数に換算すると48000坪になる。トコトコ農園の25倍弱の広大な農地である。なお岩見沢の農家1戸当たりの平均的な耕作面積は14町歩で狩野自然農園は平均よりも少し大きい程度である。ちなみに2010年現在、北海道を除く全国農家の平均的な耕地面積は1町4反強なので北海道の図抜けた広さが理解できよう。


狩野自然農園はハーブを利用した自然農法を30年続けてきた。

玉ねぎ、にんじん、大豆、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、ヤーコン、そして米などを主体に作っている。

北海道の農業は基本的に雪で半年は稼働できない。ビニールハウスは春先に植える苗作り用に使用されている。訪れたときはちょうど米の苗つくりをしていた。その一部は50種類の植物を発酵させた植物発酵エキスを希釈した液体をかけて強い苗を育てる試みをしていた。この試みは小樽に本社工場のある「大高酵素」という企業とコラボして米つくりへの効果をためすためのものである。

企業とのコラボは過去にNTTとおがくずの発酵熱による害虫駆除への応用、あるいはコカコーラとはコーヒー豆を利用した土つくりなど、先駆的な取り組みを積極的に行ってきた。同じように浄水メーカーから産業用浄水装置を試験的に導入して雨水を地下貯水槽に備蓄し、農業用水を賄っている。

ハーブはミント系を主体にして10種類を畑の畔に種をまき、防虫効果を高め農薬は一切使用していない。


野菜の種は自家製の種を使うことにこだわっている。平常時ではF1種は均等に発芽する優れた性質を持っているが在来種は6割程度の発芽率・収穫しか望めない。しかし自家製種の最大の特徴は災害等、異常気象に強いこと。災害でF1種が全滅しても自家製種を使った作物は減収にはなるが全滅することはないそうだ。


主生産の一つ玉ねぎはつい2週間前にできた苗を移植してあった。トコトコ農園ではできた苗を秋に移植して、年を越すようにして作るが、北海道では春になって苗を植える。ここが地理的・気候的条件で決定的に異なる。


狩野自然農園は国内はもちろん海外からの研修生も積極的に受け入れている。

敷地内には農家レストラン(冬季はクローズ)、バーベキュー小屋、露天五右衛門風呂など補助金をうまく利用している。米つくり体験ほか野菜収穫など農業体験なども行っている。


今回は春先の忙しい時期、午前中の2時間程度の訪問だったので広大な農地の全貌を見ることもできなかった。また狩野自然農園の取り組んできたこと、自然農法のノウハウもはっきり把握できたとは言い難い。この反省をもって夏になって取り切れない雑草の中で元気に育つ野菜たちを見る機会をぜひ持とうと思う。


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植物酵素の希釈液をかけて稲の苗を育てる

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地平線まで田んぼと畑が続く

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本植えされた玉ねぎ

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畑の周囲に植えられたミント系のハーブ

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同左

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同左

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補助金を利用して建てたバーベキュー小屋

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野外に設置した五右衛門風呂。満天の星を眺めるのが楽しみ。

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夏の間だけオープンするレストラン



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