トコトコ農園は集団耕作、均等配分という、比較的珍しい形の農園です。私たちの世代なら、ソホーズやコルホーズみたいなものですよと一言説明するだけで、他人にも分かって貰いやすい。
これに対して、自分が作りたいものを育てたい、同じ作物でも栽培方法を変えてみたい、といった一部の希望を叶えるために、2014年から始まったのが、実験農場という形態です。少人数の有志がグループを作り、トコトコ農園の作業に影響が出ない範囲で、少人数グループの作業を展開します。
私たち粋京も、4月にグループを立ち上げました。メンバは6名。名前の由来は、“粋狂な男たちの集まり”ということではなく、“粋に京野菜を作ろう”というメンバが集まったことから来ています。もちろん、男たちだけではなく、女性メンバも2名います。
京野菜というとまずは何を思い浮かべるでしょうか。
私にとっては、まず第1番は聖護院カブでした。毎年、知人から聖護院カブをいただきます。それを使って正月料理の一品として千枚漬けを作ってきました。カブが均等に薄くスライスできるように、刃渡り12cmのジャンボスライサを購入するほど入れ込んできました。今度は自分で育てたカブを使いたいという思いが募ってきたのです。
話は少し変わりますが、一昨年に娘が結婚しました。お相手に選んだのは京都の青年T君でしたが、ある時、彼にとって最も馴染みのある京野菜は何かと聞いてみました。私が期待した答えは、海老芋、鹿ケ谷南瓜、堀川牛蒡、賀茂茄子だとかの伝統的京野菜だったのですが、ヨウタベヘンとかミタコトアルという返事が返ってきました。
京都で生まれ育ったT君が慣れ親しんだ京野菜は、想定外の万願寺トウガラシ。万願寺トウガラシは厳密には伝統的京野菜には入りませんが、それに準じる野菜に属します。この際、準には目を瞑ろうということで、私にとっての第2候補は万願寺トウガラシになりました。
意外だったのは、メンバのSさんが提案したモロッコとケンタッキー。これらはインゲンの仲間ですが、広義に解釈すると京野菜と言えるのだそうです。まあいいかということで、第3候補になりました。栽培結果は後でまとめますが、どちらのインゲンもたいへん美味しく、とくに新鮮なモロッコの味は格別でした。
あれやこれやで作付け作物を選定し、これまでに栽培した京野菜とその成果は、以下の通りです。多くの野菜は、予想をはるかに超える大収穫となりました。
作物 | 結果 | 寸評 |
---|---|---|
賀茂ナス | ◎ | 1苗から数個採れれば上出来と予想していましたが、結果は数十個。想定外の大収穫。 |
万願寺トウガラシ | ◎ | 6月から11月の霜の降りる頃まで収穫が続きました。出来過ぎ。 |
壬生菜(ミブナ) | ◎ | 初夏と秋に収穫。簡単に作れてしかも美味しい。 |
京水菜 | ◎ | 初夏に収穫。京という字の付いたミズナを選んだが、トコトコ農園のミズナと同じようだったので、以後栽培取り止め。 |
モロッコ | ◎ | 7月に収穫。柔らかく甘みがあってとても美味しい。採りたては最高です。 |
ケンタッキー | ◎ | 7月と10月に収穫(2度蒔き)。モロッコ同様に美味しい。 |
聖護院カブ | ◎ | 11月から収穫開始。12cmを超える大物ばかり。ジャンボスライサが役立たない。 |
聖護院ダイコン | ◎ | 11月から収穫開始。上出来。 |
九条太ネギ | ○ | 関東では珍しい葉ネギ。それなりに収穫できました。 |
金時ニンジン | ○ | お正月用の紅くて長いニンジン。それなりに収穫できました。 |
丹波黒豆 | × | 惨敗。 |
ビギナーズラックかもしれませんが、丹波黒豆を除いて、申し訳ないほどの大収穫でした。何故にこんなによかったのか、理由が分からないほどですが、もう何年か継続してやってみると分かるかもしれません。
一方で、惨敗の丹波黒豆は、蒔き時が遅かったのと、コガネムシの食害にあったのが敗因ですが、“黒豆は苦労豆”という言葉があるほど難しいとか。来年はしっかり準備してリベンジします。
さて、粋京では晩秋に青森ニンニクを植え付けました。京野菜から逸脱するじゃないかと言われそうですが、国産ニンニクは高いので是非作りたいというメンバの希望もあって、250株を植えました。他にも京野菜ではないですが作ってみたい作物はいろいろあり、次年度への期待は膨らみます。いろいろと広げていくと、粋京の看板に偽りありとなりかねませんが、そのときはそのとき、粋狂と呼んでいただければよいのかな、と思っている昨今です。
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