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トコトコ農園通信

2015年6月5日

農園が与えてくれたもの

高橋 洋治

6月、季節は既に初夏を迎え、農園では最も繁忙な時期に入ります。早播き夏野菜の収穫の一方で、晩夏から秋にかけて実る品種の種播き、追肥等々、そして私たちの手を煩わす厄介な存在、雑草が繁茂するシーズンとなります。

ご存知の通りトコトコは有機・無農薬による栽培を実践する故、雑草除去も人海戦術。作業日にはいつも全員で鎌を持ち額に汗して青草と格闘です。

しかし自分はこの作業が大好き。草熱れの中、草を握って土中に鎌を入れると根がブチブチと切れる音と感触に快感を覚えつつ、ボウボウで生い茂っていた雑草をきれいに押しやるとプチ達成感。

それだけでは無い。梅雨の合間や朝露に濡れた青草の匂いは、堆肥の微かな饐えた匂いと混ざって自分にとっての癒しのアロマとなる。小さいころ田畑の中の一軒屋で育った原体験を髣髴させるものかなと思う。


トコトコ農園に出会ったのは4年前。

最初に会員募集のチラシを見かけた瞬間、何故か青草の匂いをイメージした。

幾度と転勤を繰り返し、見知らぬ所沢で地域コミュニティー的な活動に参加するのに、一抹の不安もあったが、今や農園の方たちとの親交も深まり、今の自分にとっては欠かすことの出来ない大事な時間となった。


農園での活動を通じて、これまで見過ごしていた大事なことに気が付いた。有機農法に無くてはならぬ微生物たちの存在だ。地球上の「分解者」として植物や動物の老廃物や遺体を分解し、生成物として植物にとって必須の窒素を与えてくれる。多種多様の微生物が醸し植物を育む。

一方、私たちにも美味な酒や発酵食品を与えてくれる。そんな微生物の素晴らしさに目覚め、種麹から麹を作って塩麹や甘酒を味わったり、ぶどう果汁に数種類の酵母を混ぜて作ったワインもどきを飲み比べるなど、以前の自分には考えられない趣味にもハマるようにもなった。


そんな中、去年のこと「実験農場」という試みが始まった。発酵に使える作物を作ろうと米を選んだ。しかし田んぼを作るわけにはいかない。陸稲とは聞いたことはあるが、果たして本当に栽培できるのか?

チャレンジ要素が満載の中、とりあえずGWの畝作りからスタートした。仲間は発酵をキーワードに繋がったT君とMさん。彼らから「陸稲作りを教えて」と訊かれ、知ったかぶりをしようにも陸稲にはマニュアル的なものが全く見当たらないことに気が付いた。迷ったがやるしかない。小学生向けの稲の観察本を本屋で見つけ、心許無くもバイブルにした。

植え付けたのはモチ・ウルチ・ハッピーヒル(自然農法の福岡正信氏が固定した品種)の3品種。一番心配したのは雨。陸稲とはいえ野菜に比べて多くの水分が必要なはず。実験農場には雨水を溜める施設もなく、まさに天水栽培。


幸いにも播種後に適度の雨が有り順調に発芽。その後もすくすくと成長した。ここでも雑草がつきもので、厄介なのはイネ科の雑草。稲との見分けがつかずに抜いてから「しまった!」と肩を落したことが幾度かあった。

夏を迎えて8月、ついに穂が出てきた。炎天下で草むしりをひとしきり、顔を上げると風にそよぐ青稲の風景。暑さも忘れ、子供の頃、学校帰りの畦道で見た風景を思い出し1人感慨に浸った。

秋、稲は台風襲来を避けて収穫。Mさんは収穫した米から甘酒を作り、目出度く「発酵ファーマーズ」のミッション完了。農園ライフを満喫し、微生物たちともまた少し仲良くなれたシーズンだった。


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メール:support@ganbare-nougyoujin.org