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トコトコ農園通信

2017年3月20日

「食」あれこれ

理事 嶋村 良子

「んっ、実家のにおいがする。」

遅れてやって来た長男が、部屋に入って来るなりそう言った。

昨年末、二男のところで家族で食事会を開いた時のことである。

その日、二男のお嫁さんは仕事が入っていたので、私が適当に作って持っていくことにした。何を作って行ったか覚えていないが、特別なものではなく普段作っているおかず数品である。ここは実家ではない、二男の家である。それにも関わらず長男が「実家のにおい」と発したことが、妙に嬉しかったのである。


34年間フルタイムで働いてきた私は結婚してから、特に子供が誕生してからは毎日が時間との戦いだった。

そんな中、職場の先輩から言われた、「きちんと食事を作って食べさせていたら大丈夫。「食」という字は『人』と『良』の字の組合せ。良い人間関係の基は『食』だから」。

その言葉を信じ日々を過ごしてきた。帰宅すると着替えの時間も惜しみエプロンを付け台所に立った日々だった。


二男の出産のため里帰りしていた私が自宅に戻って来た時、マンションのお掃除のおばさんが私を見つけ「どっちだった?」と声を掛けてきた。「男の子でした。」と答えると「じゃ、奥さんも一生ご飯作りだね。」と言った。

そういうことになるのかと思ったが、すぐにそんなことも忘れてしまった。

あの頃のおばさんは今の私くらいの年齢だっただろうか。細かい話をしたことはなかったが、おばさんの子供も男の子で、ご主人と子供たちのために毎日の食事作りを一手に担い頑張っていたのだろう。あの後もずっと…。


でも今の私はちょっと違う。

夫の退職後、協議の上(決して恐議ではない)、週1回の夕食と週1回の昼食を夫が受け持ってくれることになった。

一週間の食事作り、一日3回×7=21回。21分の2とはいえ、この2回があることで私の生活はずっと心地よいものになった。

友人と月1回里山中心にウォーキングを楽しんでいるが、その日夕方まで出かけていても帰宅後慌てて台所に立つ必要が無い。それどころか、お風呂が沸いていて、美味しい食事をいただけるのである。昼食の日も同じ。1年半ほど前から始めた趣味の縫い物をやっていても、「もうちょっとで区切りのよいところなのに、あーぁ。」と思いながら昼食の支度のために中断しなくても良いのである。この解放感の心地良さ。


効用は夫の方にもあると思う。何しろ「今日はホタテごはんにする」、「今日は牡蠣飯だ」とその日自分が食べたいものが食べられるのである。

今ではレパートリーもかなりのもの。「脂ののったいいイワシがあったから梅干と煮る」と年金生活に応じた財布にやさしい料理を作ってくれる。

退職後すぐに自分専用の包丁と出刃包丁を買ってきた。もともと食べることが好きな人なのだ。

ゴルフ、旅行、写真、カラオケ等の趣味の合間に料理番組を録画したりネットで調べたり、それなりに楽しんでいるようだ。食べ物、料理のことで二人の話題も増えた。


先日は新聞のチラシに載っていたパエリアのレシピを見て「今日はこれにする。」と言って買い出しに行った。我が家にパプリカパウダーなる新しいシーズニングが加わった。張り切って挑戦。ところが思わぬハプニング!レシピ自体の水の量が間違っていた。米100gに水600tと印刷されていたのだ。どう考えても通常の4〜5倍。アリエナイ!でも悲しいかな、「こんなに水が多くていいのかな。」と思ったものの、夫はその通りに調理した。出来上がったものはパエリアとは程遠いリゾットのようなものだった。でも味はなかなかのものだった。ネットで調べ直し、今夜リベンジで再挑戦するという。

美味しく出来上がりますように。私は期待しつつ、この原稿を書いている。


子供たちが家を離れ、互いに仕事を離れた今、老いに向かって夫婦二人でどのように暮らしていくか、私たちの年代の課題である。まだまだ模索中ではあるが、少しずつ自分たちのライフスタイルを構築中である。

今ふと気になった。息子たちにとって、「実家のにおい」が美味しい味に繋がっていて欲しいと。


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リベンジ成功!美味しくできました◎

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森林公園にて。夕食は何か楽しみ。

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1月末に初孫誕生。バアバ作のベビーキルトです。



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「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:support@ganbare-nougyoujin.org