• 「概要」へ
  • 「イベント」へ
  • 「申込フォーム」へ
  • 「連載」へ
  • 「情報コーナー」へ
  • 「メルマガ登録」へ
  • 「アーカイブス」へ
  • 「リンク」へ
次号を読む

トコトコ農園通信

2017年9月20日

『虫との付き合い方』

初代理事長 神山 光路


はじめに

2009年、春3月、所沢市の休耕農地を活用し、「有機・無農薬」で野菜を育てる会員制体験農園「トコトコ農園」がオープンしました。早いもので再来年、開園10周年を迎えます。

開園前後、「有機・無農薬」農法では野菜は育たない、という声を周囲から直接、間接に聞かされことを懐かしく思い出します。特に害虫被害を受けてきたプロの農家の経験談は傾聴に値しますが、やはり自分が作り、食べる野菜はより自然に近いやり方で作ってみたい、という思いが勝り、「有機・無農薬」農法にこだわりました。

確固たる自信は正直、なかったのですが「なんとかなるだろう」と生まれつきの楽天的思考で「現代農業」や自然農業関係の書籍を読みあさりながら、試行錯誤を繰り返し、結果的にこれまで深刻な害虫被害を受けることもなく野菜つくりを続けられたことは幸いでした。


さて、あまた存在する昆虫を「害虫」と「益虫」に分類するのは人間中心の基準によるものです。虫たちは生きるためにその本能に従い行動しているだけで、人間が育てている野菜がある虫には生きるための必要な食料だった、ということにすぎません。虫たちは雑食性ではないので手あたり次第に異なる種類の野菜を食い漁るわけではありません。 パンダは笹を、コアラはユーカリの葉以外、食べないように、虫も決まった野菜を食料にしています。

プロの農家が「害虫」を目の敵にする理由(わけ)は重々理解しているつもりですが、他方、農家の栽培法そのものにも問題点がないわけではありません。農家は収益性と効率性のために栽培する野菜を3〜4種類に絞りこみます。広い畑に一種類の野菜を作れば、その野菜を好む虫はそこが最適な生活環境になります。なにしろ虫にしてみれば苦労して食料を求めて移動し探し回る必要がなくなり、農家の畑は特定の虫にとって最大にして最適な生存環境なのです。


農家が目の敵にするのは地上の「害虫」に限りません。同じ土地で同じ野菜を繰り返し栽培していると地中でも悪さをする特定のバクテリアや昆虫類が集まり易くなります。野菜に悪影響を及ぼす、いわゆる「連作障害」という現象が起きて、うまく野菜が育たたなくなるのです。そこで農家は地中で悪さをするバクテリアや蛾の卵、幼虫も土壌消毒薬を用い殺戮してしまいます。ところが同時に「益虫」の昆虫類も全滅させてしてしまうのです。

地上では農薬で地中では土壌消毒薬を使った「害虫」と「バクテリア」の殲滅作戦です。

農薬を製造する某化学メーカーに勤務していた人によれば昔の農薬と違い今の農薬はより安全で、人体に与える悪い影響はほとんど無いと自信をもっていい切ります。しかしそれでも疑問が残るのはそれらが人体に影響を及ぼす期間です。数代にわたってじわじわと遺伝子レベルで悪影響を及ぼすかもしれないし、及ぼさないかも知れません。がしかし、現時点では未来永劫に安全とは言い切れない、そう私は考えます。


《あお虫と芯喰い虫》

「有機・無農薬」農法の「トコトコ農園」は虫対策(あえて「害虫対策」と言いません)をどのようにしていたのかをお話しします。

虫の中で特に手を焼いたのがキャベツ、大根、ブロッコリー、白菜、小松菜のようなアブラナ科を好む虫です。モンシロチョウの幼虫のあお虫や野菜の成長点を食べる芯喰い虫はこのアブラナ科の野菜に好んで集まってきます。あお虫は春野菜の葉を好んで食べますが、その対策はひとえに人海戦術で駆除します。

虫が苦手の女性会員は割箸で、そうでない人は軍手をつけた手で摘み、一か所に生きたまま集め、雨水槽の中の金魚にあお虫を食べさせます。生餌を食べる金魚たちは元気に長生きします。収穫が遅れ気味のキャベツはあお虫に食われ、表面はレース状になりますが、葉を1〜2枚剥がせば何の問題もありません。

一方、あお虫とは違い、小さくて新芽の成長点に取りつく芯喰い虫は厄介な存在です。農作業日の朝、最初の作業が芯喰い虫除去です。あお虫同様、人海戦術で黙々と小さな虫と格闘してきました。

新芽が地上に顔を出した大根の中に明らかに成長の止まった苗が散見されます。そこには必ずといっていいほど芯喰い虫が潜んでいます。成長点を傷つけないよう新芽を慎重にかき分け、ごくごく小さな虫を親指と人差し指を使い引っ張り出します。芯喰い虫はあまりに小さすぎて金魚の餌にもなりません。


《夜盗虫と根きり虫》

夜盗虫と根きり虫はともに蛾の幼虫で地中に生息しているという点が共通しています。夜盗虫は「ヨトウムシ」と読みます。いかにも悪そうでおどろおどろしい虫を想像します。成虫はヨトウガという蛾の一種で、悪さをするのがその幼虫、体長4〜5センチの大きさです。文字通り、日中は土の中にひそみ、草木も眠る丑三つ時に土の中からぞろぞろと這いでてくる物騒な輩です。かつて我が家の庭に鉢植えで桔梗を育てていました。夏の今頃の時期、その葉が何者かに食われ、無残な姿になっていました。しかしどこを探してもそれらしき犯人が見当たらず、ふと鉢を持ち上げ鉢受皿を見ると、そこにじっと悪党面した虫が眠っているではないですか。褐色のグロテスクな風貌をしています。夜盗虫は4〜5センチの芋虫のように大きな虫で、雑食性です。茎も葉も柔らかい若い苗を好んで食べます。夜盗虫は除草剤で雑草を駆除したきれいな畑によく出没しますが、「トコトコ農園」のように適度に、というかかなり畝間に雑草が生える畑では比較的被害が少なくて済みます。雑食性なので豊富にある雑草をよく食べます。

一方、根切り虫も4センチくらいの大きな虫で、地際の苗の茎をバッサリ食いちぎり若い苗を倒します。名前と違い野菜の根を食べるのではなく、夜盗虫同様、若い苗の柔らかい葉を好んで食べます。せっかく種から育てた野菜の苗が弱々しく横たわる姿を見ると、無性に腹立たしくなります。カッターのような鋭利な刃物を使って苗を切り倒したような鋭い切り口です。根切り虫は同じ苗でもすこし大きくなると葉が固くなるので若い苗しか食べません。グロテスクな姿に似合わない贅沢でグルメな虫です。夜盗虫と根切り虫を駆除する農薬が市販されていますが「トコトコ農園」では農薬に頼るほどの被害もないので、目くじらを立てることもありません。


夏野菜の収穫も一段落し、秋野菜の芽出しの時期を迎えたことと思います。「トコトコ農園」のある所沢市はまだ残暑の厳しさが残っているかもしれません。私は3年前に所沢市から札幌市に移住しました。札幌は朝の気温が10度を下回り、冬支度が目の前に迫りつつあります。遠く北の大地から「トコトコ農園」の仲間たちの野菜つくりの写真を見ながら懐かしい思い出に浸っています。



クリックすると拡大されます。

記事関連の写真

山椒の葉にアゲハの幼虫

記事関連の写真

モロヘイヤについた虫を捕る会員

記事関連の写真

里芋の葉と、バッタ

記事関連の写真

カボチャの花と蜂

記事関連の写真

キャベツとモンシロチョウ

記事関連の写真

カブトムシの幼虫

記事関連の写真

キラキラ光るテープで、そら豆のアブラムシ対策

記事関連の写真

雨水槽の中の金魚



>> トコトコ農園 <<
「トコトコ農園」は安全でおいしい野菜作りを楽しむことを目標にしています。
ご興味、ご関心をお持ちの方は、何なりとお気軽にお問い合わせください。
メール:support@ganbare-nougyoujin.org