第1回 蕎麦の収穫と石臼を使ったそば粉作り
なぜ蕎麦は高いのか、その理由は体験で理解する
自分の手で収穫した蕎麦の実を乾燥、脱穀し、石臼をひいてそば粉を作り、その粉を使って蕎麦打ちに挑戦してみようという、今回の欲張った企画が始まりました。
そば粉を家に持ち帰り、あわよくば年越し蕎麦を打って、家族を驚かしてみたい!
この目論見がうまくいくかどうかは、参加者の心がけ次第ということで、11月15日、蕎麦の刈り取り体験が行われました。
作業の前に収穫からそば粉に加工するまでの作業の流れや蕎麦の収穫量など、蕎麦に関する基礎的知識のレクチャーを受けました。
お米との比較で言えば、まず気になるのが収穫量です。
今年、私たちが行った米作り体験時のお米の収穫量は1反(300坪)あたり7,5俵、450kgでした。それに対し蕎麦の収穫量は約100kg前後と、お米に比べると20%強の生産量の少なさです。
反当り収量はお米の場合は玄米の状態で、蕎麦の場合は殻がついた状態の重量です。お米は玄米から精米にする段階で10%減量になります。つまり100kgの玄米を精米し白米にすると90kgに減ってしまいます。
一方蕎麦はというと、外側の黒い殻を取り除き、そば粉の状態にすると30%も減ってしまいます。
蕎麦は収量が少ない上に製粉のロスが大きいこと、なおかつ手間が米に比べてかかることなどから、国内産はかなり割高になってしまうことが理解できます。
そのため、価格的に安い輸入ものが中国を中心に入ってきて、いまや蕎麦の国内自給率は20%まで落ちています。知らず知らずのうちに私たちは中国産の蕎麦を食べているのです。
お米の生育期間は八十八日、蕎麦は七十五日といわれています。蕎麦はこのあたりでは8月中ごろに種まきをして、11月の中旬に収穫、というのが目安となります。
当初は集合場所のす目の前で栽培されている「赤そば」を収穫する予定でしたが、生育が遅れていて、まだ結実しておらず、今回は車で5分ほど離れた別の蕎麦畑の蕎麦を収穫することになりました。
蕎麦の根はとても浅く、稲刈りの要領で鎌を茎にあてると根っこごと抜けてしまいます。
蕎麦の収穫のタイミングは頂上部の花が残っているときに刈り取るのがベストです。蕎麦の実は下の花から上に向かって順々に結実していきますが、収穫が遅れると実がバラバラと地上に落ちてしまうため、一番上の花が咲き残っているときに収穫するのが一番良いとされています。
畑一面に植えられた蕎麦の生育状況はけして一律ではなく、刈り取り可能な場所を選択して収穫作業に取り掛かりました。
通常は効率を考えて機械を使って刈り取りをしますが、畑のなかの小石までかきとってしまうという難点があります。蕎麦の難しいところは脱穀から製粉までの間で、蕎麦の実と同じ大きさの小石が誤って取りきれず、小石とともに製粉してしまえば、商品にならないところです。